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2006年5月25日 (木)

憲法第9条1項を残すから大丈夫?

 自民党の憲法草案についての説明だと、自衛隊を自衛「軍」にはするが、でも、憲法第9条1項の平和主義を残すから日本が軍事国家に逆戻りする心配はないということらしい。自民党の憲法草案の該当箇所は、次のとおり。本当だろうか。眉唾もんだ。

【自民党憲法草案】

(自衛軍)
 第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
 2 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 3 自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
 4 前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。

明治憲法時代のパリ不戦条約

 明治憲法時代、パリ不戦条約に、当時の日本も、調印し批准をしたが、その内容が憲法9条1項に酷似しているという話を聞いたことがある。
 ネットで調べ、文献を国会図書館の謄写サービスで申し込んでみた。最近は、便利な世の中になったもんだ。著作権に反しない範囲であれば、いながらにして国会図書館が貯蔵している文献のコピーサービスを受けられるのだから。
 確かに、明治憲法時代の1928年8月27日、日本はパリ不戦条約に調印し、翌1929年の6月27日には、この条約を批准している。
 このパリ不戦条約には、次のように書かれている。

(前文の抜粋)

 獨逸國大統領、亞米利加合衆國大統領、(中略)、日本國皇帝陛下、(中略)ハ、人類ノ福祉ヲ増進スヘキ其ノ嚴肅ナル責務ヲ深ク感銘シ、其ノ人民間ニ現存スル平和及友好ノ關係ヲ永久ナラシメンカ爲國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ卒直ニ抛棄スヘキ時機ノ到來セルコトヲ確信シ、其ノ相互關係ニ於ケル一切ノ變更ハ平和的手段ニ依リテノミ之ヲ求ムヘク平和的ニシテ秩序アル手續ノ結果タルヘキコト及今後戰爭ニ訴ヘテ國家ノ利益ヲ増進セントスル署名國ハ本條約ノ供與スル利益ヲ拒否セラルヘキモノナルコトヲ確信シ、其ノ範例ニ促サレ世界ノ他ノ一切ノ國カ此ノ人道的努力ニ參加シ且本條約ノ實施後速ニ之ニ加入スルコトニ依リテ其ノ人民ヲシテ本條約ノ規定スル恩澤ニ浴セシメ以テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ノ共同抛棄ニ世界ノ文明諸國ヲ結合センコトヲ希望シ、茲ニ條約ヲ締結スルコトニ決シ(後略)

(本文の抜粋)

第一條 締約國ハ國際紛爭解決ノ爲戰爭ニ訴フルコトヲ非トシ其ノ相互關係ニ於テ國家ノ政策ノ手段トシテノ戰爭ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ嚴肅ニ宣言ス

第二條 締約國ハ相互間ニ起ルコトアルヘキ一切ノ紛爭又ハ紛議ハ其ノ性質又ハ起因ノ如何ヲ問ハス平和的手段ニ依ルノ外之カ處理又ハ解決ヲ求メサルコトヲ約ス

 言われるとおり、憲法9条1項にとてもよく似ている。このパリ不戦条約の精神が日本国憲法第9条1項に脈々と引き継がれているのだ。
 しかも、日本は、このパリ不戦条約を批准したにもかかわらず、これを反古にし、自衛の名の下に侵略戦争に突き進んで行った。戦争の放棄を宣言したパリ不戦条約は、結局無力だったんだ。

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