政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こる危険
日本国憲法前文には、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」とある。
戦争は、政府が宣戦布告をし、軍隊を出動させて始まる。戦争は、個々の国民が起こすものではなく、政府の行為によって始まるものである。国民は、それによって、否が応でも、戦争に巻き込まれる。攻撃を受けることによって物理的な意味で被害を受け、戦時体制に置かれて人権が制約されることによって精神的な意味でも多くの被害を受ける。戦争に反対すれば「非国民」と言われ、虐殺されることだってある。日本国民は、既にいやというほどそのような理不尽な状態を味わったし、それは日本国民だけではなかった。国民が望んでもいない戦争によって、一部権力者の思惑によって、戦争にかり出され亡くなった多くの若者がいる。
その反省の上に、国連憲章も、日本国憲法もあるはず。政府は、国民の人権を守るために、戦争以外の外交手段を駆使して国際紛争を解決する義務を負っていることは、いまさら言うまでもない、当然のことだろう。
しかし、この国の政府は、この当たり前のことさえ実行せず、今「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こる」危険を増加させている。この単純なことを分からないはずはないのだから、分かっていて敢えてやっている。この国を戦争をする国(「できる」ではない)に変えようとしているからである。多くの人がそのことを感じ始めているのではないだろうか。
純情きらりが戦争の本質を描こうとしてきたことは既述のとおりだが、さらに、人間魚雷回天の悲劇を描いた横山秀夫の「出口のない海」が山田洋次の脚本によって映画化され、9月16日封切りされる(監督:佐々部清)。http://www.deguchi-movie.jp/
他方、吉永小百合が、山田洋次監督の「母(かあ)べえ」で主演することが、報じられた(http://www.nikkansports.com/entertainment/cinema/p-et-tp1-20060906-86023.html)。
吉永は「夢のようです。昨年の夏、山田監督からこの作品のお話をいただいた時、何としても出演したいと思いました」と、来年1月の撮影開始を心持ちにしている。原爆詩朗読をライフワークとして続けるなど平和運動にも熱心に取り組んでいる。戦争が家族の幸せを奪う悲劇を描く今回の作品には思い入れも強く、「暗黒の時代を懸命に生きた母べえを深く表現できるように全力を尽くします」と話している。
多くの心ある人が、今の日本がというより今の政府が国民を連れて行こうとしている方向に危機を感じ、何とか戦争が国民に何をもたらすのかを描こうとしているように思える。私たち一人一人が、それぞれの場所で、戦争の本質を正面から見据え、考えたこと感じたことを表現し行動に移せば、決して遅くはないと心底思う。
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コメント
全く同感です。
この国の政府は、たしかに
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こる」危険を
増加させていますね
自民党の憲法草案を読むと、9条2項を
削除し、新設の9条の2は、法律で軍隊のことを
決めると書いてあります。
これでは、憲法のはどめがないのと一緒です。
自民党の憲法草案は
9条を破壊し、立憲主義を破壊する悪憲法だと思いました。
多くの方にそのことを知っていただきたいと思います
投稿: やっとこ | 2006年11月27日 (月) 19時03分