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2006年9月22日 (金)

国旗国歌強制違法判決(東京地裁)について

  主    文

1 原告らが、被告都教委に対し、「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」に基づく校長の職務命令に基づき、上記原告らが勤務する学校の入学式、卒業式等の式典会場において、会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する義務のないことを確認する。
2 被告都教委は、原告らに対し、本件通達に基づく校長の職務命令に基づき、上記原告らが勤務する学校の入学式、卒業式等の式典会場において、会場の指定された席で国旗に向かって起立しないこと及び国歌を斉唱しないことを理由として、いかなる処分もしてはならない。
3 原告らが、被告都教委に対し、本件通達に基づく校長の職務命令に基づき、上記原告らが勤務する学校の入学式、卒業式等の式典の国歌斉唱の際に、ピアノ伴奏義務のないことを確認する。
4 被告都教委は、原告らに対し、本件通達に基づく校長の職務命令に基づき、上記原告らが勤務する学校の入学式、卒業式等の式典の国歌斉唱の際にピアノ伴奏をしないことを理由として、いかなる処分もしてはならない。
5 被告都は、原告らに対し、各3万円及びこれに対する平成15年10月23日から支払済まで年5%の割合による金員を支払え。
(一部要約)(要約のために「原告ら」としているが判旨は原告番号による特定あり)

 以上が、「国歌斉唱義務不存在確認等請求事件」について、2006年9月21日午後1時30分に東京地裁が言い渡した判決主文の要旨である。

 憲法が保障する国民の基本的人権=「思想・良心の自由」「表現の自由」等からすれば、これを行政権力が侵害し将来もそのおそれが高い以上、その回復及び将来における侵害の予防を命じるのは、裁判所として当然のことで、裁判所は、当たり前の仕事をしただけのことである。この当たり前の判決が、画期的と評価されなければならないところに、我が国の司法の現状がある。

 改めて言うまでもないが、「思想・良心の自由」等のいわゆる「精神的自由権」は、国民の基本的人権の中でも、とりわけ憲法上最大の尊重を要する(優越的地位)。このことは、憲法を学んだ人なら誰でも知っているし、最高裁判所も明確に認めるところである。

 ところが、今の我が国の大臣のレベルをどのように考えればよいのだろうか?
 「予想もしていなかった」とコメントを出した(テレビで見てたのでこういう趣旨のことを述べていたとだけ言っておく・・・もっとひどいことを言っていた気がするが・・・)法務省、文科省のトップが、憲法の原則を知らないはずはない。この原則を知っていれば、今回の東京地裁の判決は、当然に予想の範囲内でなければならない。そう言いたくない気持が分からなくはないが、理論的には当然の帰結なのだから。
 要は、予測の範囲内であったにもかかわらず、「意外だ」とか「予想もしていなかった」と述べ、国民に向けて、あの判決はおかしな判決、特別な判決だと印象づけたいということなのだろう。
 騙されてはいけない。
 東京地裁の判決は、当然の当たり前の判決なのだ。

(付記)
 「予防訴訟の東京地裁判決に対し、判決をまったく理解できずに非難する連中が多いようです」と書かれた増田弁護士のブログには、小泉氏や杉浦法務大臣のコメントが引用されている(http://yaplog.jp/lawyaz-klub/archive/1641)。
 「今回の判決は,画期的ではあるが,恐らく,法学部生がこの問題について判決を書けと言われた場合,同じような趣旨の判決になるはずだ。つまり,憲法を素直に解釈すると国歌斉唱時に起立を強制されることなどありえない」と書かれた「情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士さん」のご意見(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/2d4ea238903c8d478a1e5db043b447d9)に全く同感である。

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 東京都教育委員会が03年10月23日に発した通達により、「日の丸」に向かって、「君が代」斉唱時に起立したり、ピアノ伴奏等を強制するよう指示したのは違憲であるとして、教員らが同通達に従う義務のないことの確認を求めた「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟で、...... [続きを読む]

受信: 2006年9月23日 (土) 00時02分

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