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2006年12月

2006年12月20日 (水)

ワーキングプアⅡ努力すれば抜け出せますか

 NHKスペシャル「ワーキングプアⅡ努力すれば抜け出せますか」を見ました。
 7月23日のNHKスペシャル「急増”働く貧困層”」を見た時、思わず、すぐに、NHKに激励のメールを送ってしまいました。相当衝撃だったのですが、今回は、さらに力作だと思いました。
 前回の番組を見た多くの人から多数のメールや手紙が届き、その中に、具体的な実情を訴える人たちがたくさんいらっしゃったとのことです。「それに応える義務がある」と説明がありました。

 この番組は、前回もそうでしたが、単に評論家を登場させてしゃべらせるという安直な作り方をしていません。現実に、懸命に働きながら、ぎりぎりの生活を強いられている人たちの姿を時間をかけてカメラで追っています。具体的な事実をきちんととらえています。私は、ここにこそ、メディアの真骨頂があると思いました。

 離婚し二人の子供を抱えながら生活をする女性。睡眠時間を4~5時間まで削って2つの仕事をこなし、それでも18万円余りの収入しか得られない。子供と一緒に過ごすのは、夕方から夜8時までの約3時間。彼女は、子供たちを寝かしつけて仕事に出かける。「10年ぐらいたてば、私の体はボロボロになるでしょう。でも、その頃には、二人の子供は育ちあがる・・・・・」と言う。そのいさぎよさに、胸が詰まります。
 こんなに誠実に生きている人が将来に希望を抱いて生きていける社会を作らずにおいて、国家に何か意味があるのでしょうか?国家というものの存在意義を改めて問いかけたくなります。

 高校生時代、成績はトップで、美術を得意にしていたため、専門学校に進んで、コンピューターゲームのグラフィックデザイナーを夢見ていた女性。進学しようとしていた矢先に父親が病気で失業し進学を断念。町営施設の食堂で働きはじめたものの、町が民間委託したため、賃金も下がり、1日8時間働いても、8万円程度の収入しか得られない。調理師の資格を取得してスキルアップを図ったが、それでも時給10円しか賃金を上げてもらえなかった。妹も同じ仕事をしていて同じ給与。二人のどちらが欠けても生活ができない。父親は妻を亡くして鬱状態で仕事に復帰できない。

 若い頃、大家族の生活を支えるために年金保険料の支払が5年足らなかった。そのために年金を全く受け取れず、高齢になった今でも、空き缶拾いをして生活をしている80歳と75歳のご夫婦。その空き缶拾いも、競争が激しくなった上に、身体が思うように動かなくなって、いつまで続けられるか分からない。何かあった時のために70万円の預金を使わずに置いてあるため生活保護も受けられない。

 丁寧な仕上げに誇りを持ってきたプレス加工業を営む男性。安さを競う時代になり、委託料が半分以下に切り下げられてしまった。しかも、脳出血で倒れ、妻がその仕事だけでなく、他に2つの仕事を掛け持ちで働いて、ようやく生計を支えているが、ぎりぎりの生活も限界に来ている。

 白状すると、何度か涙が出ました。同情とか、そういうことではない。登場する人たちが余りに誠実に生きていることに感動したから。政府や他人の批判を一切せずに、懸命に生きている。

 私は、次の内容のメールをNHKに送りました。

 「ワーキングプアⅡ 努力すれば抜け出せますか」
 前作に引き続き、拝見致しました。
 前回の作品にも感動しましたが、今回も素晴らしい作品だったと思います。
 評論家を登場させてしゃべらせるだけならば、簡単に番組ができるのでしょうが、現実にいくら働いても生活できない、あるいはぎりぎりの生活を強いられる人たちをきちんと取材され、事実の重みに語らせておられる。事実の重みの前には、理屈はいらないと思います。
 前回の作品が多くの反響を呼んだとの番組内での紹介も、とても嬉しく拝見致しました。いいものを作って頂ければ、やはり見た人の感動を呼びます。
 私の周囲にも、この番組を見てNHKへの評価を改めた、受信料をちゃんと払うと言っている人が何人もいます。
 どうか、これからも、このような良質の作品を創作されたく、期待しております。
 ありがとうございました。

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2006年12月17日 (日)

教育基本法改悪の日=2006年12月15日

 2006年12月15日

 この日を銘記しておこうと思う。

 国家権力が、国民に対してその本性をあらわに支配を強めようとした証として。

 そして、多くの人たちが、国民の権利を守るために決意を新たにした日として。

 教育基本法の問題は、直接は国家による支配介入に対して教育をいかに守るかという問題である(第16条)。しかし、今回の改悪は、それにとどまらない。
 (教育の目標)を定めた第2条、(家庭教育)を定めた第10条、(学校、家庭および地域住民などの相互の連携協力)を定めた第13条を合わせて見ると、国家が教育の名の下に、一定の価値観を国民に押し付け徹底しようとしていることは、余りに明白である。

(教育の目標)
第2条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
1 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
2 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
3 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
4 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
5 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

(家庭教育)
第10条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

(学校、家庭および地域住民などの相互の連携協力)
第13条 学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

 

 いよいよ、権力に憲法を守らせるために、日本国憲法の真の意義や役割を広める運動が重要になってくるのだと思う。

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2006年12月15日 (金)

「ワーキングプアⅡ努力すれば抜け出せますか」について

 少し驚くようなこと(いまさら驚くのはおかしいのかも知れないが)をブログ「お玉おばさんでもわかる政治のお話」(http://otama.livedoor.biz/)で知りました。
 下記のような状況があるそうです。
       記
 昨夜から、NHK宛に抗議の電話が多く寄せられているそうです。
 抗議の中身は「ワーキングプアになったのは本人の責任、なんでこんなものを放送するのだ」といった類です。
 このような抗議が多ければ今後の番組づくりに影響します。激励の声をぜひ、寄せてください。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/061210.html

 このNHKスペシャルは、7月23日放送の「急増”働く貧困層”」の第2弾で、私は、このNHKの報道に感動をして、ブログでも書き(http://3courage.cocolog-nifty.com/kenpo/2006/07/post_e1a3.html)、NHKには、メールを送りました。
 今回の第2弾は、見逃してしまい、再放送を見ようと思っています。
 限界はあるものの、このスペシャルの今の日本の実態を事実に即して描く姿勢は、特筆ものだと思っております。私は、メディアがあれこれ評価を加えるより、事実を淡々と描いた方が説得力があると感じました。

 私は、抗議は、かなり組織的なものを感じてしまいます。第1弾の放送へ寄せられた多くの激励の手紙こそが、視聴者個々人の率直な感想であったと思います。かつてない反響だったと聞いています。だからこそ第2弾が企画された。そこに危機感を感じた集団がいたのではないでしょうか。

 今回のスペシャルを見ていないので、今は何も言えないのですが、このNHKスペシャルの報道が、世論に大きな影響を与えたことは間違いありません。この企画を実現したスタッフにとっては、大きな誇りではないでしょうか。
 私は、見たら、必ず、感想をNHKに送るつもりです。

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2006年12月12日 (火)

日弁連院内集会

 教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会のブログ「あんころブログ」で、日弁連院内集会の模様を詳しく紹介してくださっています。
 ここです→http://kyokiren.seesaa.net/article/29453383.html
 写真も使って、リアルに感動が伝わって来ます(知っている顔が見えるせいもありますが)。
 本当に最後まであきらめずにできることを可能な限り続けたいものだと改めて思います。

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2006年12月11日 (月)

九条の会を記録する会について

 9条の会オフィシャルサイト(http://www.9-jo.jp/)で、「九条の会を記録する会(映像ドキュメント研究会)が記録した映像を編集してネット配信を始めました!」との記事をみました。

 早速、映像ドキュメント研究会(http://survival.org/index.html)にアクセスし、既に、数点の映像(九条の会・全国集会など)がアップされているのを発見し、感動したりしてました。

 マスコミは、9条の会の活動をほとんど報じません。たまに報じても、ベタ記事です。憲法改悪問題については、公正な報道がなされているとは、到底思えないというのが正直なところです。

 もちろん、各紙、社説などでは、素晴らしい意見を出されています。時として感動します。

 しかし、マスコミの役割は、事実をいかに丹念に拾い集めて報道するかという点にあるのではないでしょうか。先日、ある雑誌に憲法改悪についての意見を書かせて頂いたのですが、その際、ネタの一つとして、「憲法改正」をキーワードにある特定の新聞社(どちらかと言えば左寄りと言われることの多い新聞社)の記事を1ヶ月に限定して検索してみたのですが、97件がヒットし、約80件が政府・自民党・安倍に関する記事でした。もちろん、その新聞社が批判的に扱っている記事も相当数あるのですが、事実としては、政府等の動きばかりが記憶に残ることになってしまうことが分かりました。憲法改正反対の動きを伝える記事はわずか16件でした。
 これではいけないと私は思いました。生の事実が公平に伝わっていないのです。

 九条の会を記録する会がどういう意図でこの企画を立ち上げられたのかは分からないのですが、私は、今後の活動をものすごく期待してしまいます。これだけすごい勢いで広がっている9条の会の活動が、事実として伝わっていかないことの不条理をいつも嘆いていますから。

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2006年12月 7日 (木)

教育基本法改悪案のもう一つの問題点

 教育基本法の山場が来週にずれ込みそうだとの情報が入って来ている。

 まだ遅くはないので、自分でもできることをやろうと思う。

 ところで、教育基本法改悪のもう一つの危険性について、少し整理しておきたいと思う。

 それは、今度の教育基本法改悪案が、家庭や地域をも巻き込み、義務を課そうとしている点である。

 (家庭教育)を定めた第10条を見てみる。

(1)父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとすること。
(2)国および地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会および情報の提供その他家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならないこと。

 (学校、家庭および地域住民などの相互の連携協力)を定めた第13条はこうなっている。

 学校、家庭および地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携および協力に努めるものとすること。

 第2条で一定の価値観を国民に強制し、第16条で国家による教育への不当な支配介入から教育を守るという準憲法としての役割を果たしてきた教育基本法を普通の法律にしてしまうだけでなく、一気に、教育の名の下に、一定の価値観を広く国民に押しつけることが可能な代物に作り変えようとしているということになる。

 「みどりの一期一会」さんのブログの記事(http://blog.goo.ne.jp/midorinet002/e/2e0db4d667790321529c0157ea0a49f9)で、「教育基本法「改正」に関する緊急声明」を拝見したが、性差別の撤廃という観点からみても、大きな問題があることがよく分かる。

 教育基本法改悪案は、検討すればするほど問題だらけの法案であることがよく分かる。

 どうしても反対せざるを得ない。

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2006年12月 2日 (土)

教育基本法=準憲法の変質をねらう改悪案

 以前(5月28日)にも、教育基本法改悪案の問題を考えてみたことがある(http://3courage.cocolog-nifty.com/kenpo/2006/05/post_ea29.html)。
 そのときは、改悪案2条に絞って問題を整理してみた。

 国会審議を経て、問題は何も解決されていない。むしろ、問題点がいよいよ明らかになってきた。
 他方、改正が必要な理由は何も明らかになっていない。

 それなのに、時間さえ費やせばよいとして、数の力だけで改悪案を成立させようとする安倍内閣。何を目指そうというのだろう。

 教育基本法は、「準憲法」と言われる。法律でありながら権力による教育への不当な支配から教育を守る役割を果たすという意味では憲法と同等の機能を有しているからにほかならない。
 東京都の日の丸・君が代裁判における東京地裁判決が、このことを実感させてくれたことは、記憶に新しい。判決は、「本件通達及びこれに関する被告都教委の一連の指導等は,教育基本法10条に反し,憲法19条の思想・良心の自由に対し,公共の福祉の観点から許容された制約の範囲を超えているというべきであ」るとしたのである。

 ところが、教育基本法改悪案は、行政の支配介入を許し(第10条を改悪する第16条)、国民の自由な領域である内心の自由に関する事柄を教育の目標(第2条)という名目で一定の方向に押しつけようとしている。

 結局、これらによって、教育基本法の準憲法としての機能を喪失させ、普通の法律にしてしまう。そして、法の名の下に教育への支配介入をこれまで以上に強く進めようとしている。この点は、教育が「この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」とする第16条が端的に表現している。

 憲法の問題としてとらえると、より一層、日本国憲法を広める活動(守る活動ではない)が重要になってくるのではないかと思う。

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