教育基本法=準憲法の変質をねらう改悪案
以前(5月28日)にも、教育基本法改悪案の問題を考えてみたことがある(http://3courage.cocolog-nifty.com/kenpo/2006/05/post_ea29.html)。
そのときは、改悪案2条に絞って問題を整理してみた。
国会審議を経て、問題は何も解決されていない。むしろ、問題点がいよいよ明らかになってきた。
他方、改正が必要な理由は何も明らかになっていない。
それなのに、時間さえ費やせばよいとして、数の力だけで改悪案を成立させようとする安倍内閣。何を目指そうというのだろう。
教育基本法は、「準憲法」と言われる。法律でありながら権力による教育への不当な支配から教育を守る役割を果たすという意味では憲法と同等の機能を有しているからにほかならない。
東京都の日の丸・君が代裁判における東京地裁判決が、このことを実感させてくれたことは、記憶に新しい。判決は、「本件通達及びこれに関する被告都教委の一連の指導等は,教育基本法10条に反し,憲法19条の思想・良心の自由に対し,公共の福祉の観点から許容された制約の範囲を超えているというべきであ」るとしたのである。
ところが、教育基本法改悪案は、行政の支配介入を許し(第10条を改悪する第16条)、国民の自由な領域である内心の自由に関する事柄を教育の目標(第2条)という名目で一定の方向に押しつけようとしている。
結局、これらによって、教育基本法の準憲法としての機能を喪失させ、普通の法律にしてしまう。そして、法の名の下に教育への支配介入をこれまで以上に強く進めようとしている。この点は、教育が「この法律及び他の法律の定めるところにより行われる」とする第16条が端的に表現している。
憲法の問題としてとらえると、より一層、日本国憲法を広める活動(守る活動ではない)が重要になってくるのではないかと思う。
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