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2007年6月 3日 (日)

憲法9条が変えられたらどうなる?

 「憲法9条が変えられたらどうなる」というテーマに対する回答をきちんと整理するのは、簡単なことではない。しかし、憲法改正手続法が成立し、憲法改正が現実問題となっている以上、避けて通れない議論である。
 そして、この際に最も議論しておかなくてはならないのは、言うまでもなく、現在の政権政党である自民党が作成した「新憲法草案」であることに異論はないであろう。
 改めて、自民党の新憲法草案の9条関連の条項を見てみると、次のとおりとなっている。

自民党新憲法草案

第9条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
(「② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と規定する日本国憲法9条第2項を削除する)
第9条の2(自衛軍)
① 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。
② 自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
③ 自衛軍は、第1項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
④ 前2項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。

 「自衛軍」という言葉をみると、改めて、「自衛隊」を「軍隊」に変えようとしていることが重く響く(思わず、ドキッとするのは私だけか)。

 しかも、ここで注意したいのは、「国会の承認その他の統制に服する」との言葉が空しく響くほどに、「法律の定め」がちりばめられている点である。憲法は国民が権力者に発する命令であるが、法律は権力者が国民に発する命令であることを忘れてはならない。要は、「統制」するといいながら、軍隊の統制は、国民の手を離れ、権力者の手に委ねられる。

 さらに、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持」するための活動が自衛軍の活動として憲法上明記されていることに否が応でも目が行く。「国際的に強調して行われる活動」や「緊急事態」が強調された時に、「公の秩序」を維持するために何が行われるのか。ここで秩序維持活動の対象とされるのは何か(誰か)。この点をじっくりと考え、議論しなければならないと思う。

 しかも、この軍隊設置の関係では、新たに軍事裁判所を設置しようというのが、自民党の新憲法草案の中身である。

第76条(裁判所と司法権)
③ 軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。

 この条項を含めて、「9条が変えられたらどうなるのか」について、じっくりと考えてみたい。

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コメント

国体護持、明治憲法の復活を目指す連中には昭和憲法は<押しつけ>であるのは当然のことです。押しつけ憲法以外に再出発の道はニッポンになかった。近代憲法の歴史は抵抗勢力階級に対する押しつけの歴史です。
その憲法を各国が認めて、ニッポンは国際社会に復帰したのだから、今度はニッポンがこの憲法を世界に押しつける番です。憲法は理想を記述するモノです。米国では黒人差別は20世紀にも残っていたが、現状にあわない、として憲法から人権条項を削除したろうか?

日本国憲法の誕生 憲法は押しつけであってはいけないか
http://blog.so-net.ne.jp/furuido/2007-05-13
護憲論、天皇制
http://blog.so-net.ne.jp/furuido/2007-04-15-1

投稿: 古井戸 | 2007年6月 7日 (木) 10時35分

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» 憲法改正とサンフランシスコ講和条約「朝日ニュースター」パックイン・ジャーナルより(2) [内申書制度の廃止を求めます]
愛川氏:  樋口さん、砦ですよ。 樋口氏:  私共が大学のときに学んだ基本的な知識からいうと、国際条約というものは憲法よりも上位概念であると。 田岡氏:  もちろん! 愛川氏:  しかし良かったですねぇ、アメリカだけじゃなくて。他所の国がいろいろ言ってくれれば… それから前にも田岡さんから何度か聞いたけど、憲法改正案のなかの軍法会議復活っていうのはね、そういうことは世界では今は止めてきてるんだと。つまり軍人が軍人を裁いたら、甘いに決まってると。 田岡氏:  止めたの... [続きを読む]

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