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2007年7月 1日 (日)

日弁連シンポジウムと品川正治氏講演(予定)

◇ 日弁連(日本弁護士連合会)がシンポジウムを予定しています。

日時:7月21日(土)午後1時~
場所:弁護士会館2階講堂クレオ
テーマなど:「憲法改正と人権・平和のゆくえ」
          ~パートⅡ イラク戦争から何を学ぶか~

 これは、憲法60年記念シンポジウムの第2弾で、その講演者として、品川正治氏をお招きすることになっています。

◇ 品川正治氏インタビュー記事

 私は、担当委員会である憲法委員会に所属しているのですが、そのMLで、1人の委員が、品川氏のインタビュー記事を紹介してくれました。
 すぐにその雑誌(「経済」7月号)を書店に注文して読むことにしたのはいうまでもありません(勉強熱心ですから(^^;))。

 財界の中心にあった品川氏が何を言うのかという揶揄に近い好奇心があったのは事実です。品川氏は、経済同友会の終身幹事の肩書をお持ちです。経済同友会が改憲推進の立場を鮮明にしてきたことも広く知られています。私がそういう偏見を持つのも無理はありません(開き直ってます(^^;))。

 しかし、一読して、私の認識が間違っていたことが分かり反省しました(根が単純なので、すぐ反省します)。さらに、肩書などで偏見をもって人を評価することの愚かしさを自覚しました。私たちのように戦争を経験していない世代には到底語れない実体験に基づいた信念が品川氏の言葉にはありました。重みが違うのです。素直にその言葉に耳を傾けてみたいと思い、再読しました。

 さらに、ネット検索してみると、品川氏は、以前から、講演会などで、自らの体験とそれに基づく考えを発信し続けておられたことも分かりました。単に私が知らなかっただけということが分かり、ますます恥ずかしい思いにかられました。

 品川氏の言葉は、どれもこれも重いし、とても要約できる内容ではありません。下手な要約は、品川氏の真意を曲げます。結局のところ、前記の雑誌記事を直接読むしかないし、品川氏のお名前で検索すると、講演録を拝見することもできるので、そっちで読んでもらうしかありません。

 以下は、自分のためのメモのようなものです。記しておきます。
 戦争の本質を体験された品川氏であるからこそ、価値観を転倒してしまう戦争の怖さ、常時戦争をしている国であるアメリカとの「価値観の共有」などとんでもないことを実感を込めて話されるのだと思います。

 戦争になれば、人類が勝ち取ってきた自由や人権という尊重すべき価値よりも、「勝つため」という価値が優先してしまう。戦争は価値観を転倒してしまう。このことを嫌というほど経験したわけです。

 今は憲法改定論議を一番してはいけない時期だと思うのは、アメリカが現に戦争状態にあるからです。・・・今言ったとおり戦時国家は、すべてを動員します。アメリカは、もちろん同盟国日本を戦争に動員しよう、そのためには「戦争をしない」という憲法を変えようとしています。その流れを止めるために、私が大事だと考えているのは、「日本の価値観とアメリカの価値観は違う」という視点です。

 「日本とアメリカの価値観は違う」という意味は、日本は戦争をしない国だと憲法で決めている国であり、一方、アメリカは常時戦争をしていて、現在も戦争をしている国であるということです。

 歴史的に言えば、世界で原爆を落とした国はアメリカだけで、落とされた国は日本だけしかありません。その二つの国の価値観が一緒だと言ってしまったら、世界の歴史の認識が成り立たなくなってしまう。日米が価値観を共有しているという見方で政治、経済を運営していこうとすれば、根本的な間違いではないのか。

 日本は平和憲法で「絶対戦争はしません」「世界には敵がおりません」と宣言している国です。一方、アメリカは、他の国を「悪の枢軸」「ならず者国家」と名指しして、戦争を遂行している国です。この両国の価値親が一緒だと言ってしまったら、すべてを見誤りますよ、ということです。

 「アメリカと価値観を共有する」という理屈で、アメリカとの軍事同盟をさらに強化していく道をとれば、日本の軍備はいくら増やしても足りないことになる。そんな形は、国家のあり方として、私は最も拙劣だと思います。

 「国の価値観が違います」という立場は、ヨーロッパの諸国はアメリカに対して常に言っていることです。

 今、日本はアメリカの価値観を一番問わない国になっていますが、本当は一番、価値観が違うはずではないのか。そして、この点を問うことは、世界平和のためにもプラスではないかと思います。世界中で、武力によって解決できない問題というのは山ほどあります。世界中にたくさんある紛争の種を、戦争にしないというのが、大国の役割ではないですか。日本は、平和憲法を持つ国として、その役割を果たせる国だと思うのです。

 品川氏の発言は、「平和憲法をもっている国にふさわしい経済とはどういうものか」にも及んでいます。間違った方向に歩もうとしている日本への警鐘だと思います。
 戦争は反対であるが、北朝鮮や中国の脅威から自国を守るための軍隊は必要だとおっしゃる方の発想は、平和を守るための手段を戦争だけに置くところから来るように思います。この東アジア地域全体の平和を日本しかできない方法で守っていくことこそが、最も有効なしかも日本にふさわしい自国を守る方法なのではないかと思うのですが、どうなのでしょうか。
 また、日本の安全・平和の確保を日本国内でだけ考えていてはいけないとも思います。アジア全体の安全・平和がなければ日本の安全・平和もないと思うのですが、どうなのでしょうか。
 品川氏の発言を読みながら、そのようなことを考えました。

 私は、日本経済が次の時代に道を開くための大きなポイントは、「成長の呪縛」からの脱却にあると思います。
 達成された「経済大国」は「成長至上主義」の産物であり、もはや日本は「成長の呪縛」から脱すべき時代に入ったと思います。経済を成長率で評価する時代は終わり、これからは経済は国民生活に従属するという視点が必要です。

 世界トップクラスの経済力をもつ日本において、なぜ国民が社会保障の削減に脅え、年間三万九千の自殺者を出しているのでしょうか。多くの人が正規の職に就けず、教育問題や格差の拡大に悩まなければならないのでしょうか。経済の成長率を発展の尺度として、企業の成長を支えることが最大の国家政策だと考えるのはもはや誤りです。国家目標を、これからは生活や労働への不安がなく人々が安心して暮らせる社会の実現におくべきです。日本の経済力はそれを実現できる水準にあるはずです。

 そして、この経済の尺度を切り換えることは、現在の国際環境をみても、大変重要になっていると思います。
 21世紀の大きな課題は、世界中から戦争や貧困、飢餓、疫病を減らし、地球環境を保全していくことです。そのために戦争という手段では、解決できない問題はたくさんあります。日本は、平和的手段で仕事をしますよという立場を積極的に押し出すべきだと思います。

 私たちが直面している、このヤマ場は、日本国内の政治問題だけではありません。世界史を変える大きなヤマ場なわけです。
 これから世界はアメリカ型の経済、国家の形しかないという方向で進んでいくのか。もし、これだけの経済規模をもっている日本がアメリカ型と違う価値観を選択すると、はっきり世界に宣言できたら、世界史の進路は変わってくると思います。だから憲法問題は国内的な問題、政局の問題に矮小化すべきではなく、もっと大きな世界史的な意味をもつと考えて一向に差し支えないと思います。

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