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2007年8月24日 (金)

中日新聞の「新防人考4」-湾岸戦争で日本が拠出した130億ドルの行方

 中日新聞の「新防人考4」(2007年8月22日)の記事は、興味深い事実を書いていた。

 日本は、湾岸戦争で130億ドル(当時のレートで1兆7000億円)という多額の金員を拠出した。ところが、「血も汗も流さない」と批判を浴びたと言われる。記事では、「トラウマ」と指摘している。

 なるほど、9条を改憲すべしとする根拠にこのことがよく引き合いに出される。血や汗を流すことが国際貢献だ、だから9条を改定して軍隊を持ち、血も汗も流すべきだと。テロ特措法、イラク特措法制定の際や自衛隊法改正の際にも、このことが強調され、あっという間に国会を通過した。

 まぁ、私は、そもそもこういう議論の立て方自体がおかしいと思っているけど、義理や人情のしがらみに弱い日本人は、「国際貢献」という言葉に弱い。私自身も実は弱い。無視することはできない。そこで、中日新聞の記事は非常に重要になってくる。

 前記記事は、次のような事実を指摘している。

 「91年3月、クウェート政府は米国など30カ国に謝意を示す広告を米紙に掲載した。この中に日本の名前はなかった。」
 「ところが、実は130億ドルの大半が、多国籍軍の中核を成した米国に戦費として支払われた可能性が高いのだ。使途が公表された追加分90億ドル(1兆1800億円)の内訳をみると、米国へは1兆790億円が渡ったが、クウェートへ回されたのは、はるかに少ない約6億3000万円だけ。本来の目的である戦後復興に使われていないのだから、感謝の広告に日本の名前がないのもうなずける。」

 何のことはない。日本は、そのお金のほとんどをアメリカに、しかも戦費として支払っただけである。こんなことをしていたら、国際的に評価されるはずはない。クウェートだって、感謝できない。

 なお、この記事は、以下のような元政府高官の話を引用しつつ、本当に外務省のミスだったのかと疑問を留保する。トラウマが「自衛隊の海外活動を拡大するエネルギー源」としての命脈を保ち続けていると指摘する。

 「あれは、外務省のミスだ。戦費の大半を日本が負担したことをクウェートに説明しなかった。人的貢献をしなければ、世界的に評価されないというのは間違いだ」

 湾岸戦争における多額の金員の拠出をアメリカに集中させたことが、結果として、自衛隊の海外派兵を加速させてきたことは、指摘のとおりであり、少なくとも、政府がこれを利用したことは明白である。

 そうすると、一歩進めて考えれば、あり得ない話ではない。

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