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2007年9月11日 (火)

テロ特措法と安倍総理の決意?

 安倍総理の発言が話題になっている。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070909ddm002010156000c.html

 この毎日新聞の記事によると、

「(インド洋での海上自衛隊の給油)活動継続が求められている。どういう法的担保にしていくかは工夫の余地がある。給油活動は日本の国際社会における責任だから、何とか果たさなければならない。民主党とできる限り話し合いをしたい。あらゆる可能性を考えていかねばならない。
 今行っている海上での給油活動が海上阻止活動の不可欠な要素になっているから、そこを何とか維持したい。新法を考えるということなら、どういう形にするかを政府・与党でよく考えていかねばならない。(給油活動継続は)対米というよりも対外的な公約で、それだけ私の責任は重たい。すべての力を出し切らなければならない。活動を継続するために総理として全力を傾ける。

と述べたとのことである。

 しかし、強い違和感を感じる。

 テロ特措法は、本来時限立法(施行後2年で効力を失うとされていた)であったはずである。それをずるずると延長してきたという経緯がある。今回だって、そのままにしておけば失効する(2年が6年に延長されて終了)だけの話である。逆に、さらに延長すれば、なんと4回目の延長ということになる。
 国際法と国内法との関係については、諸説があって一概には言えないが、現在の日本の通説的な考え方である二元説によれば、国際法は、国内法で認められるか国会での承認がなければ、効力を有しない。まして、安倍首相の言う「国際社会における責任」「対外的な公約」というあいまいなものを国会の承認もないままに軽々しく使っていいはずはない。
 法が元々時限立法であることからすると、十分な議論も行わずに多数の力を借りて、ずるずると延長してきたことの方が問題である。

 現在のアフガニスタンの状況について何も触れず、自衛隊が具体的にどのような給油活動を行っているか、その給油活動がどのような役割を果たしているのかについて何も触れず、抽象的あいまいな言葉で自己の信念を正当化しようとする意図だけが伝わってくるが、「国益」ということを言いたいのであれば、そのあたりの具体的な状況を説明せずして延長しようとなれば、議論の前提を欠くことになる。
 むしろ、自衛隊が給油活動を続けていること、そのことが知られるようになることこそが国益を損なうという議論がある。
 給油活動を続けるべきか、給油活動を停止すべきか、どちらが国益を損なう結果になるかについては、情報がきちんと国民に報告され、説明責任がきちんと果たされてはじめて意味のある議論ができる。情報を隠し続けながら言葉でごまかす国民を馬鹿にした政治はいい加減にやめて欲しい。

 しかも、安倍総理は、「海上自衛隊のインド洋での給油活動が継続できなければ退陣する意向を表明した」(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/kokkai/news/20070910k0000e010109000c.html)そうなので、あくまでも自衛隊の海外における活動の是非を自らの最大の政治目標だとしたということになるのであろう。憲法改正を第1目標に掲げる安倍氏らしい選択である。

 これだけ、年金問題、政治とカネの問題、貧困の問題が指摘されている中で、依然として、憲法改正や自衛隊の活動の問題を最重点課題と考える感覚は、どういうんだろう。各種の世論調査や政府の調査で表れている国民生活の悪化(貧困化)、社会福祉制度の脆弱化こそが、国民の最大の関心事であると思う。日々の暮らしや将来の生活に不安を抱えている国民からすると、給油活動(しかも100億円を超える膨大な費用を使ってる)などのことより、安倍氏が政治生命を賭ける課題は別にあるだろうとしみじみ思う。

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