名古屋高裁判決
名古屋高裁平成20年4月17日判決
原告の訴えに正面から答えた素晴らしい判決でした。→判決全文
日本の裁判所は憲法判断を回避したがる傾向があまりに強い。あきれるほどに。司法の役割の放棄と言われることさえあります。
そういう中、敢えて「平和的生存権」の具体的権利性を確認し、政府が国会にも国民にもイラク戦争の実態を明らかにしないことを痛烈に批判し、イラクの実態を丁寧に認定した上で、航空自衛隊の輸送について「少なくとも多国籍軍の武装兵員をバクダッドへ空輸するものについて」「他国による武力行使と一体化した行動」「自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動」と判決に書き込んだ裁判官に敬服します。
また、ここまで訴訟を維持し判決を勝ち取った弁護団の尽力には頭が下がる思いです。
どこの新聞社だか忘れましたが、この判決を受け、イラクの実態があまりにも伝わっていないことの問題を指摘していましたが、本当にそうだと思いますし、この判決が、日本における情報の乏しさ(日本政府の秘密主義)を改めて浮き彫りにしたと思います。裁判官は、この判決を通して、イラクにおけるすさまじい戦闘の一端でもいいから明らかにしたいと思ったのではないでしょうか。
判旨の一部ですが、以下に要約しておきます(正確さを犠牲にして数字を拾っています)。
- WHO発表 死亡したイラク人最大22万3000人
- 英国の臨床医学誌ランセット発表 死者が65万人を超える旨の考察
- NGO「イラク・ボディ・カウント」発表 平成19年民間人犠牲者約2万4000人
- イラク人約400万人が家を追われたといわれている
- アメリカ国防総省発表 アメリカ軍の死亡者約4000人
- アメリカのイラク関連の歳出はベトナム戦争の戦費を上回ったといわれている
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