映画・テレビ

2007年8月14日 (火)

映画「日本の青空」

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 8月10日、福井のメトロ劇場で開かれた「日本の青空」の試写会に参加した。

 

 日本国憲法は、アメリカに押し付けられたものだ、だから自主憲法を制定するのだ、などの矛盾した乱暴な議論には、とてもついていけない。しかし、日本のどうしようもない政府が作った「明治憲法を少しだけ変えただけの憲法案」に呆れたアメリカ(GHQ)が、日本国憲法の原案を作成し、それを当時の頑迷な日本政府に押し付けたのは押し付けたのだろうと思っていた。

 いわゆる「押し付け憲法論」=「自主憲法制定論」には与しないが、かといって押し付けられた側面があるのは間違いないというのが、私の考え方だった。

 

 もちろん、私だって、憲法研究会の「憲法草案要綱」のことは知っているし、GHQが日本国憲法の制定の際に最も参考にしたことも知っているし、「憲法草案要綱」が植木枝盛研究の第一人者であった鈴木安蔵らによって起草されたことも知っている。

 

 しかし、GHQの立場からしてみれば、日本にも、まっとうな民主主義思想を持った憲法案があるなら参考に一応見ておこうかという程度の評価をしたと考えてた。まさか、それを「手本」にしたなんて、考えてもみなかった。

 

 しかし、根本的に考えを変える必要があるかも知れない。

 この映画によると、GHQは、日本の円滑な支配のために、日本人が受け入れやすい憲法案の策定に腐心した。きれいごとではない。それが賢明な支配の方法というわけである。天皇を象徴として残したのもそのためだ。GHQ案作成の際に憲法研究会の「憲法草案要綱」をベースにしたのも、真意はそこにあったのかも知れない。

 

 ただ、それだけにとどまらない。日本側の松本委員会とGHQとの政府案作成のための協議は、30時間超に及んだ。徹底的に議論がなされた。一方的な押しつけではなかったことが分かる。

 

 また、映画では登場しなかったが、GHQとの協議で完成した政府案は、日本の議会でさらに検討され、修正されている。森戸辰男の提案で加えられた生存権の25条が有名である。

 どっちにしても、大事なのは、当時の日本国民が、日本国憲法をどのように受け止めたかに尽きると私は考えているため、あまり制定過程を重視していなかったけど、きちんと検証してみる価値があるとも思った。

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2007年8月 2日 (木)

8月暑い夏

 意味不明なタイトルをつけてしまいましたが、この夏、戦争、平和、憲法9条に関わるテーマの番組がたくさんあるそうなということで、暑い(熱い?)ということです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「護憲ウォッチ!」(http://gokenwatch.exblog.jp/6032126)から頂いたトラックバックで知った、NHK「日本の、これから」(http://www.nhk.or.jp/korekara/)です。
 アンケート(https://www.nhk.or.jp/korekara/nh15_kn/enq.html)に答えても、何ももらえそうもないですが(NHKですもんね)、もっといいことあるかも。
 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「お玉おばさんでもわかる政治のお話」
 
http://otama.livedoor.biz/archives/50774647.html
で教えてもらった「NHKに受信料を払っていて、良かったな、と思える作品」の一覧です(現時点で終わったのもあります。気がつくのが遅かった。)
 (お玉さん、勝手にコピペしてごめんなさい)

=戦争と平和を考える=   2007年夏

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終戦・被爆特集番組
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「ピースTV ~ボクらのピースを探す旅~」
8月1日(水)19:30~19:55 NHK教育
出演:ふかわりょう、仲里依紗(女優)、池田貴史(ミュージシャン)
 沖縄戦のひめゆり学徒隊の生存者から、その体験を受け継ごうとする若者たちの話。
 反響次第で定時化もあるようです。ぜひ意見、感想をNHKにお寄せください。

■8/4
◇NHK教育(前9:30)
 「あした元気にな~れ!半分のさつまいも」
*海老名香葉子原作。東京大空襲で家族を失った「かよちゃん」
「きいに いちゃん」兄妹が終戦直後の不安な時代をたくましく
生きていく姿を描きます。
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◇NHK教育(後8:30)
「土曜かきこみTVスペシャル~戦争と平和を考えよう」
*3千人の子どもたちを対象に戦争と平和に関するアンケートを
実施し、子どもたちの本音を考ます。
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◇NHK教育(後9:30)
 「中学生日記」
*ランディーズの高井俊彦が沖縄を旅し、現地の中学生に「戦争と平和、どう教わっていますか?」と質問します。
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◇NHK教育(後10:25)
 「一期一会 キミにききたい!」
*戦争と平和に関して異なる価値観の若者同士の出会いを描きます。
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◇NHK教育(後11:00)
 「トップランナー」
*被爆者と家族の物語「夕凪の街 桜の園」を発表した映画監督
佐々部清 をゲストに迎え、戦争の愚かさを描き出す思いを聞きます。
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◇フジテレビ(後9:00)
  「ゾウのはな子」
*戦争中、上野動物園で餓死させられたゾウの「花子」と、悲しい
体験に 苦悩しながらも再起していく飼育員(反町隆史)の物語

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■8/5
◇NHKテレビ(後9:00 6日 後10:00)
「核クライシス」
*2夜連続で、核が「使える兵器」に変貌しつつあることを告発します
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◇NHKラジオ(後11:45)
「ヒバクシャの声」
*世界中に暮らす被爆者から電話やファックスでNHK広島放送局に
寄せられた声を紹介します。
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■8/6
◇NHKラジオ(後8:05) 
「原爆の日特集~カンボジア・復興への架け橋『ひろしまハウス』」
*被爆者で、建設に尽力した国近京子さんを追います。
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◇ NHKラジオ(深夜1:10)*6日~10日まで5夜連続
 「いま戦争を考える~平和な明日を築くために」
*戦争体験者の証言を伝えるとともに、今、戦地で救援活動に従事している人たちの声を聞き、平和のメッセージを発信します。
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■8/7 
◇NHKテレビ(後10:00)
「アメリカ秘密尋問所トレイシィ(仮題)」
*サンフランシスコの尋問所トレイシィでは、2千人以上の日本兵が
尋問を受け日本の情報がアメリカにもたらされました。その事実を追います。
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■8/8 NHK衛星(後11:10)*10日まで3夜連続
  「ドキュメンタリードラマ ニュルンベルク裁判(仮題)」
*ナチスドイツの幹部を戦争犯罪人として裁いたニュルンベルク裁判をテーマとします。イギリスBBC放送制作
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■8/9
◇NHKテレビ(後10:00)
「吉永小百合~想いを受け継ぐ子どもたちへ」
*「原爆詩の朗読会」を20年間続けてきた女優、吉永小百合の姿を描きます。
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◇NHKテレビ(後10:50)
「原爆のせいじゃなかとですか~長崎・原爆症認定への闘い(仮題)」
*原爆症認定をめぐる集団訴訟で長崎裁判の原告団長を務める森内実の活動を通して、狭き門である認定の現実を映します。
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◇NHKラジオ(後11:20)
「8月9日 その日、長崎が消えるまで」
*発行から30年以上がたった『長崎原爆戦災史』の改訂作業を追います。
 被爆者の証言やアメリカの資料から、8月9日を再現します。
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■8/10
◇フジテレビ(後9:00)*10日と2夜連続
    「はだしのゲン」
*中沢啓治が自らの被爆体験をもとに描いた作品の初のドラマ化。反戦思想を貫く父・大吉役に中井貴一。
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■8/11
◇NHKテレビ(後6:10)
「週間子どもニュース:世界の平和ミュージアム~子どもたちが描いた戦争」
*紛争に苦しむ子どもたちが描いた絵を紹介。ウガンダの兵士だった12歳の少年が描いたのは「子どもが自分の母親に銃を向けている絵」でした。
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■8/12
◇NHKテレビ(後9:00)
「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争」
*『総員玉砕せよ』を原作としたドラマ。戦争体験をマンガに描こうと葛藤する昭和40年代の水木と、戦争の最前線にいた日々を交錯させて描きます。
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◇テレビ朝日(後2:00)
 「ザ・スクープスペシャル」
*被爆・終戦をテーマに放送します。
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■8/13
◇NHKテレビ(後10:00)
  「東京裁判 A級戦犯はこうして選ばれた」
*アメリカのA級戦犯関連資料をもとに巣鴨刑務所での取り調べを再現。
 A級戦犯選定の過程をひもときます。
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◇8/14 NHKテレビ(後10:00)
「東京裁判 パール判事の真実(仮題)」
*東京裁判で「全員無罪」を主張したインドのパール判事の思想や実像に迫ります
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◇8/16 NHK衛星(後10:10)
    「BS特集~証言の記録 マニラ市街戦」
*太平洋戦争最大の市街戦の実像に迫ります。
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8/17 NHK衛星(後10:10)
「実録 ニュルンベルク裁判」
*ニュルンベルク裁判についての当時の記録を再構成します。
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2007年6月22日 (金)

NHKクローズアップ現代「“集団自決”62年目の証言」

 車を運転しながらテレビの音声だけ(画面は見ていませんでした。念のため)を聞いていました。

 そうしたら、教科書検定で、集団自決が日本軍の命令だったと理解される部分について、削除すべし旨の検定意見が付されたという話題が耳に飛び込んできました。(あとで、NHKのクローズアップ現代だったことが分かりました)

 それだけでも、何を歴史の事実を隠そうとしているんだと怒りがわきました。

 しかし、さらに、沖縄の思いを現地で拾い集めたレポートを聞き、そして、具体的には、子どもたちを含む親族を殺害せざるをえなかった人の話等々を聞きながら、私の怒りは極めて浅いものだったと反省いたしました。

 「沖縄の人たちは、根こそぎ軍に駆り出されて働いていた、そのため軍の秘密を知ってしまっていた、捕虜になればスパイになる、スパイならないためには自決するしかなかった。」こういう事実を突きつけられると、もう言葉がありません。

 それほど長い番組ではなかったのに、心にずしんと重い物が残りました。

 この歴史的事実を後世に残さないといけない、その努力を沖縄の人が始めているという事実には、心底励まされ、私たちもできることを続けなければいけないと思いました。

 そういう思いでいたところへ、お玉さんのブログでのNHKへ激励メールをとのよびかけに触発され、私もNHKにメールを送っておきました。

(追伸)
 思いもかけず(というのは先ほどまで検索でヒットして拝見していたブログでしたから)頂いたトラックバック元の残照さんのブログには、詳細が紹介されている。何せ、私は、車を運転しながら音声で聞いたので、記憶はかなり断片的です。

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2006年9月 9日 (土)

純情きらり

 今日の「純情きらり」は、このドラマの核心だったのではないでしょうか。

 戦争の後遺症で悩む達彦が、戦地ではからずも見捨てざるを得なかった戦友若山の姉に会い、「許してください」と述べるシーンである。

 その姉(木村多江)は、達彦に対し、「許しません」と答える。その後の台詞が、とても象徴的でした。彼女は、静かに、「この戦争が良いこと、正しいこと、戦うべき価値があることだと奮い立たせて、戦場に送り込んだ人たちのことを許しません。その戦争を止めなかった自分も許しません。それを許してしまったら、弟は救われないからです。だから、あなたも許しません。あなたには未来があり、弟には未来はないのです。」(記憶に基づいているので、不正確)

 このドラマは、朝ドラにしては、毎回戦争の悲惨さを朝ドラの限界ぎりぎりのところで描いていて、注目して見ているが、今回、木村多江にさきほどの台詞を言わせたいために起用したとしか思えないワンシーンだった。

 戦争は人を殺しあう悲惨なものだという本質をこの時期に実感させてくれる展開は、決して偶然ではないように思う。

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