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2008年3月

2008年3月11日 (火)

「日常」という言葉、視点

 私は市民オンブズ活動のほかに「高齢者の人権を守る市民の会」というNPO法人の活動をしています。今年で10年目になりますが、その間さまざまな立場、職業の方からお話を聴く機会に恵まれました。あるとき、地元大学の教員の方に不躾にもご専門の研究について伺ったところ、「例えば制度なら、その制度は私たちの日常の暮らしに具体的に実際にどう関わってくるのか、そういうことを研究するということかしら・・」と答えてくださいました。私に分かり易いように簡潔にお話くださったのだと思いますが、研究者の口から「日常の暮らし」という言葉が出たのが私には新鮮でした。

 その後、ある本でも「日常」という言葉を目にしました。平和を守ろうと言うときに言葉が空転するような気がするから、「平和」という言葉を「日常」に言い換えたらどうかという井上ひさしさんの講演記録でした。友達と会う、会ってビールを飲む、いろいろお喋りして楽しく過ごす、勉強するというような日常のことができなくなるというようなことを防ぐために、私たちは自分たちの日常生活を守るために頑張っていくのだという内容で、先述の大学教員の方のお話を思い出していました。

「日常」という視点を取り入れると、事の内容にかかわらず問題が自分の方にぐっと近く寄ってくる気がします。

 私は普通の主婦として丸10年間市民オンブズ活動に関わってきましたが、市民オンブズ活動に「日常」という視点をもっと取り入れて展開していくことはできないかなぁと時々考えてきました。市民オンブズ活動への理解については少しずついい方向に向かっていると思いますが、友人知人に「何か敷居が高いような感じがして」と言われることも少なくありません。でも、日常の視点云々より、市民オンブズ活動の原点である情報公開制度が、市民のそれこそ日常生活にとって身近なものになることが先ず課題なのかもしれません。(事務局 伊東晴美)

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真っ当な市民の常識が・・・

 2月20日,名古屋高裁金沢支部は,栗田元知事に1億円余りを支払えとした福井地裁判決を取り消し,私たち住民の請求を棄却する判決を言い渡しました。

 巨額「カラ出張」裁判の提訴から九年後の5回目の判決は再逆転敗訴判決でした。福井県庁における巨額のカラ出張(裏金作り)は、長年にわたり組織ぐるみで構造的に行われていたことは紛れもない事実であるのに、組織のトップに責任はないとする本判決は、私たち市民の常識からかけ離れていました。

 その翌日、「一市民なんですが」と電話をかけてきてくださった方がありました。「長いものに巻かれろ式で生きてきた人間なんですが、時々皆さんの姿をTVで見ましてね。昨日は、何というか、結果は残念だったですが、その・・感動しましてね。それを言いたくて。」

 また、判決日の夕方、金沢から福井駅に着いた幹事のAさんが自宅に向かったタクシーの中で、運転手さんに「どちらへ行かれたのですか?」と言われたので、判決の結果を話したそうです。すると、運転手さんは「私もラジオで聞いて納得いかないと思いましたよ。」と言いながら、自宅に着く前に「私の気持ちです。どうもご苦労さまでした。」とメーターの機械をパタンと下ろしてしまわれたのだとか。

 おおかたの人は、真っ当に生きている市民の常識が通じる社会であってほしいと思っているのではないでしょうか。2月29日、私たちは迷うことなく上告しました。(事務局 伊東晴美)

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