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2008年6月

2008年6月14日 (土)

福井県における埋蔵文化財調査報告書未刊行問題

 福井県において、遡ること30年以上前から7年前までの期間に19件もの埋蔵文化財調査報告書が未刊行になっていた問題について、問題が表面化した2007年4月以降、私たちは情報公開請求とあわせ、県教育庁に対し4回にわたる公開質問状を提出してきました。

 19件の遺跡については、当該年度において報告書刊行の予算措置がなされていましたが、刊行が困難となり、実際には報告書の印刷が行われていないにもかかわらず、虚偽の支出命令決議書を起案決裁し支払が行われていました。

 これら19件の報告書については、2007年度から刊行作業が進められてきており、2008年3月31日現在の刊行状況は15件、残り4件は今年度(2008年度)の8月を目処に刊行が予定されているとのことで、4回目の公開質問状に対する教育長の回答にも「一日も早く、未刊行となっているすべての報告書を刊行することで、責任を果たしていきたいと考えております。」とありました。

 しかし、刊行してしまえば「一件落着」で済む話ではありません。

 予算執行にかかる不適切な事務処理により多額の公金が雲散霧消し福井県に損害を与えたことについて、私たちは、県民に対し損害賠償責任のあり方を説明した上で、謝罪すべきだと繰り返し公開質問状に明記してきましたが、この点については回答を徹底して避けているとしか思えません。担当課は問題表面化した当時の記者会見において、既に県民に謝罪していると強調しますが、あくまで未刊行の実態に対する謝罪であって、公金の行方不明に対する謝罪ではありません。

 この無責任な姿勢は刊行に伴う印刷費の状況をみれば、さらに明らかです。

 19件中、印刷業者が印刷代金入金の記録や記憶を認めた6件については印刷業者の責任で印刷されていますが、9件は、当時の執筆担当者が“自主的に”印刷費を負担して印刷しているのです。さらに今後刊行予定の4件についても、当時の執筆担当者が負担する予定とのことです。しかし、今後の4件中の2件については、当時の執筆担当者はすでに故人なのです。

 調査報告書の何十年にわたる未刊行状態と公金の行方不明については、これらの事実を承知しながら的確な対処を怠り放置してきた歴代の教育長をはじめ管理監督者こそが責任を問われるべきです。執筆担当者にのみ、その責任を負わすべきではありません。

 私たちは、近々に、文化庁記念物課の文化財担当調査官に対し、県教育庁に適切な指導を要請する文書を提出することも考えています。(事務局・伊東晴美)

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2008年6月12日 (木)

福井県議会の政務調査費マニュアル

 福井県議会の「政務調査費マニュアル」(平成20年4月)が情報公開請求で公開されました。全87頁。本文は45頁で、基本方針、使途基準、政務調査費に係る事務処理の3編で構成されています。気づいた点からとりあえず3つだけあげてみます。

1.        議長の調査等(P8)

旧条例が議長の調査権について、単に「必要に応じ調査を行うものとする。」という表現だったのに対し、改正条例は、収支報告書等の内容を調査し、使途基準に適合した支出であることを「確認しなければならない。」となりました。

では、具体的にどう確認するのかですが、マニュアルによると、議会事務局職員が書類確認や相談を実施する由。議会事務局職員の役割は重大です。政務調査費は公金であるとの認識をもって任務を遂行してほしいと思います。

2.        証拠書類等の閲覧(P9)

 新条例では、議長に提出された収支報告書等は、何人も簡易な請求手続きにより閲覧が可能となりました。その閲覧書類中の非公開情報(情報公開条例に基づく)についてですが、マニュアルには「会派および議員が収支報告書に領収書等を添付して提出する際には、必要と思われる部分をマスキングの上、提出していただくことにしています。」と書かれています。

対して、長野県のマニュアルでは、「非公開とすべき『会派の活動に著しい支障をおよぼす情報』であるか否かは、各会派の判断を最大限に尊重した上で議長が決定するものとする。」とされています。マスキングを会派と議員に全面的に任せておいていいのか、気になるところです。

3.        会計帳簿(P39)

 活動記録と会計帳簿は閲覧・情報公開対象ではありません。特に会計帳簿については「収支報告書作成の基礎となるものですから、漏れのないように記載してください。」とまで書かれてあるのに、です。

 長野県議会では、1年間の領収書の束や活動報告書が約2万枚にもおよぶとのことですが、会計帳簿をまずチェックし、帳簿上の疑問点などがあれば領収書等にあたるという流れの方が現実的ですし、そもそも領収書等を公開して、なぜ会計帳簿は公開しないのか納得がいきません。 会計帳簿の公開については特に今後も議会に要望していかねばと思っています。 (伊東晴美)

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