福井県における埋蔵文化財調査報告書未刊行問題
福井県において、遡ること30年以上前から7年前までの期間に19件もの埋蔵文化財調査報告書が未刊行になっていた問題について、問題が表面化した2007年4月以降、私たちは情報公開請求とあわせ、県教育庁に対し4回にわたる公開質問状を提出してきました。
19件の遺跡については、当該年度において報告書刊行の予算措置がなされていましたが、刊行が困難となり、実際には報告書の印刷が行われていないにもかかわらず、虚偽の支出命令決議書を起案決裁し支払が行われていました。
これら19件の報告書については、2007年度から刊行作業が進められてきており、2008年3月31日現在の刊行状況は15件、残り4件は今年度(2008年度)の8月を目処に刊行が予定されているとのことで、4回目の公開質問状に対する教育長の回答にも「一日も早く、未刊行となっているすべての報告書を刊行することで、責任を果たしていきたいと考えております。」とありました。
しかし、刊行してしまえば「一件落着」で済む話ではありません。
予算執行にかかる不適切な事務処理により多額の公金が雲散霧消し福井県に損害を与えたことについて、私たちは、県民に対し損害賠償責任のあり方を説明した上で、謝罪すべきだと繰り返し公開質問状に明記してきましたが、この点については回答を徹底して避けているとしか思えません。担当課は問題表面化した当時の記者会見において、既に県民に謝罪していると強調しますが、あくまで未刊行の実態に対する謝罪であって、公金の行方不明に対する謝罪ではありません。
この無責任な姿勢は刊行に伴う印刷費の状況をみれば、さらに明らかです。
19件中、印刷業者が印刷代金入金の記録や記憶を認めた6件については印刷業者の責任で印刷されていますが、9件は、当時の執筆担当者が“自主的に”印刷費を負担して印刷しているのです。さらに今後刊行予定の4件についても、当時の執筆担当者が負担する予定とのことです。しかし、今後の4件中の2件については、当時の執筆担当者はすでに故人なのです。
調査報告書の何十年にわたる未刊行状態と公金の行方不明については、これらの事実を承知しながら的確な対処を怠り放置してきた歴代の教育長をはじめ管理監督者こそが責任を問われるべきです。執筆担当者にのみ、その責任を負わすべきではありません。
私たちは、近々に、文化庁記念物課の文化財担当調査官に対し、県教育庁に適切な指導を要請する文書を提出することも考えています。(事務局・伊東晴美)
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント