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2008年7月

2008年7月31日 (木)

ミニ学習会を始めました

市民オンブズマンは、情報公開請求と住民監査制度を最大限利用して活動しています。

でも、私たちはこれらの制度を縦横に使いこなしているだろうか?との自戒も含め、毎月開いている定例会で学習をする場を設けてはどうだろうかとの提案が、幹事会で出されました。「それはいいね。」と全員賛成。でもただでさえ分かりづらい住民監査制度なんかを一気に理解しようと意気込んだりすると先が見えている?から、定例会の前座として20分程度でどう?という話になり、6月から「ミニ学習会」がスタートしました。

第1回のテーマは「住民監査請求・住民訴訟の対象」。住民監査・住民訴訟の対象は、公金の支出、契約の締結等々の「財務会計上の行為」に限られていますが、地方公共団体による行為は、そのほとんどが何らかの費用を伴うので、区別は簡単ではない。ということで、具体例をあげて、資料を用意してきた幹事(弁護士)が解説。

参加者からは、「違法性の承継」の説明で出た「財務会計上の行為」についてもう少し詳しく知りたいとの要望が出て、続く7月のテーマのキーワードは、これプラス「財産」になりました。

さらにこのテーマで出てきた「行政財産の使用許可」という言葉に、「小中学校の空き教室を利用した介護老人施設が増えていて、子どもとお年寄り双方にいい効果が上がっているというニュースを度々聞くけれど、使用許可という観点から考えたことはなかった。」「給食を民間委託して、今までの公有施設をそのまま使っている例もある。」等の意見が出て、次回(9月)の「ミニ学習会」のテーマは、この言葉をキーワードの一つにすることになりました。

情報公開請求と住民監査制度の基本を学ぶという当初の目論見からは少しずれてきたような気もしないでもないですが、当の参加者の意見で次回のテーマが決まるという、今のところ、なかなかいい方向で進んでいます。

「季節の風物だったのか?」などと、後で揶揄されないように、気張らずに気軽に続けていけたらと思っています。7月には、一般市民の方も参加されていて嬉しいことでした。(事務局)

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2008年7月 2日 (水)

敦賀・レジャー施設訴訟和解で終結

大型レジャー施設建設反対をめぐる敦賀市・福井県相手の訴訟は、2日、和解で終わることになりました。和解内容は、市は原告らとともにマスタープランを尊重したまちづくりに努め、原告らとそのための協議を行うことを確認して、原告らは市と県に対する訴えを取り下げるという内容です。

本件訴訟は、敦賀市では、本件地域を文教・農地保全ゾーンに指定する都市計画マスタープランを策定しながら、それを担保する内容の都市計画が定められておらず(本件地域は都市計画法上白地地域となっていました。)、しかも、開発規制のためのまちづくり条例が制定されたもののその適用前の間隙をぬって、都市計画マスタープランに反する大型レジャー施設(ぱちんこ店)の開発が行われたため、それに反対する市民・住民が敦賀市に対して開発許可申請の県への進達の差止め、損害賠償を、また福井県に対して開発許可差止め、開発許可取消をそれぞれ求めて提訴したものです。しかし、訴訟係属中に、市は県に対し開発許可申請を進達し、県は開発を許可し、業者による開発工事が完了し、県が工事完了検査済証を交付したために、訴えの利益がなくなってしまいました。
そこで、原告らとしては、市・県に対して、本件地域を文教・農地保全ゾーンに指定する都市計画マスタープランを策定しながら、今回それに反する大型レジャー施設(ぱちんこ店)の開発を認めた責任を明確にしたいという思いが強くありましたが、過去の責任追及よりも、今後の行政と市民との協働によるまちづくりを重視することとして、今回、訴えを取り下げる和解を成立させたものです。

 本件開発は、都市計画マスタープランの限界(それ自体では絵に描いた餅にすぎず、それを実現するためには別に都市計画を定める必要がある)、市と県の間の責任のキャッチボールを露呈するものでした。それだけでなく、本件開発許可には、開発区域のどの範囲が接道要件を満たせばよいのか(開発区域の北側にある主たる公道から開発区域までの範囲で足りるのか、それとも開発区域から南側についても接道要件を満たす必要があるのか)、接道要件にいう道路幅員は開放部のある側溝を含むのか、接道要件を満たしているというためには、接続道路は道路構造令の隅切り要件を満たす必要があるのではないか、開発許可は設計が接道要件を満たしていれば足りるが、開発工事が接道要件を満たすといえるためには契約が権限ある者によって有効になされている必要があるのではないか(工事の前提となる契約=法律行為に瑕疵があるかどうかも開発工事完了検査の対象となるのではないか)という問題を含むものでした。しかし、原告らとしてはこれらの責任追及するだけでは、孫子の代にわたる快適な生活環境を創造することはできません。あるものは受け入れて、共存共栄の道を図りつつ、これ以上のまちの破壊を防ぐという苦渋の選択をしたものです。

 しかし、和解に至る道も平坦ではありませんでした。原告らとしてやむなく訴えを取り下げるのですから、せめて行政には原告らの訴訟にこめた真摯な思いは理解してもらいたくて、和解条項の中に「市・県は本訴を提起した原告の思いを真摯に受け止める」という文言を入れたところ、市はこれを受け入れてくれたものの、県は当初これを拒否しました。ようやく、裁判所に間に入ってもらって、和解条項本文ではなく、前文に「真摯に受け止める旨の意向を表明した」という文言を入れることで今回の和解成立に至りました。

 市としては、マスタープランは策定したものの、地元で開発計画があったし、都市計画も市全体のあり方を見据えて行わなければならないので、とりあえず市限りで動けるまちづくり条例を制定したが、その適用前の開発許可申請だったので開発に至った、県としては都市計画マスタープランに沿った都市計画が制定されていないので許可申請があれば許可せざるを得ない、業者としては法的に必要な手続きを遵守して開発しただけだ、とそれぞれの言い分があることでしょう。しかし、住民も、市民も、業者も、行政も、よりよいまちづくりという見地から、真剣にかつ誠実に協議をつくして合意点を見出していく努力をすべきです。

 今後、市との間でよりよいまちづくり協議、業者との間でよりよい施設づくり、地域に根ざし地域に開かれた健全な青少年育成のための施設づくりに向けた協議が行われます。訴訟よりも難しい問題もあると思いますが、それらをクリアして明るい将来が切り開かれていくことを期待しています。

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