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2008年12月31日 (水)

洗濯男に洗濯女

 昨年の大晦日は、今年4月に発行した市民オンブズマン福井の記念誌のための10年分の年表を作りながら除夜の鐘を聞きました。私たちの活動のきっかけとなったのは、福井県の巨額「カラ出張」事件ですが、その5回目の判決が、今年2月20日に名古屋高裁金沢支部で言い渡されました。提訴から9年後の再逆転敗訴判決でしたが、早速「対策会議」を始動し、6月に上告理由申立書等を郵送しました。

 周知のように10月に会計検査院が12府県の経理を調べたところ、すべてにおいて何らかの不正が見つかったと報道され、12府県以外の自治体でも相次いで内部調査を公表しましたが、福井県は毎日新聞の調査に対し「97年に発覚したカラ出張問題で不正は出し切った」と回答していました。ところが、「県能力開発協会」が「カラ出張」で捻出した費用で宴会費用どころかコンパニオン費用まで公金で賄っていたことが判明。福井県は、国事業の補助金使用状況について「自主調査」をする旨を公表しましたが、「県能力開発協会」の事務方トップは代々福井県から派遣されているのですから、先述の認識の甘さと、不正発覚後に「自主調査」と銘打つ厚顔さには呆れるばかりです。私たちは「内部調査では不十分」として、第三者を含めた調査委員会設置を求める申入書を提出しました。

 1999年8月に行われた「第13回自治体学会岡山・倉敷大会」分科会においてパネリストのおひとりだった大阪市民オンブズマンの秋田仁志弁護士は、「どうして行政の内部で同じことが何度も何度も繰り返されるのだろうか残念でもあり不思議でならない。日本の行政というのは、失敗というものに対する学習能力があるのか。あるいは、学習意欲がないのか、そもそも失敗だと思っていないだけなのか。これが民間であれば、市場の信頼を失って、あるいは損失を重ねて、倒産するのだろうが、それがないことが背景にあるのか。」と発言、さらに「失敗から学ばないのは、日本の文化的な欠陥遺伝子ではないか」との柳田邦男さんの言葉を引用し、「失敗を教訓化するシステムを早く作るべきではないか。」と提言しておられます。(公人社:1999年12月28日発行/冊子から概要)。

 全国市民オンブズマン第3回(1996年)のキャッチコピーは「自治体をいま洗濯申し候」だったそうです。1998年に発行された同連絡会議による『日本を洗濯する』のまえがきには「いま、私たちの洗濯作業は、なお続いている。(略)当分、市民オンブズマンが洗濯男・洗濯女を買って出ることだろう。(略)」とあります。その10年後の2008年にもこの予告と、9年前の秋田弁護士の弁を実感しなければならないとは・・・と思う大晦日でありました。(事務局:伊東晴美)

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コメント

伊東様 毎日全国の情報をお送りくださり有難うございます。欠かさず読んでいますし、大切な記事は私たち地方のオンブズ活動に、役立てようと保存もしています。本日の記事(洗濯おとこ洗濯女)も、大変面白いものです。市民オンブズマン福井のブログも、これからじゅっくり拝見いたします。来年もどうかよろしくお願い致します。(70歳 無職)

投稿: 筒井將喜(函館市) | 2008年12月31日 (水) 15:24

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