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2011年3月

2011年3月27日 (日)

比較~福井県と福井市の監査報告(政務調査費)

                                       (by幹事 大久保)

(1)県の監査~「木で鼻をくくった」ものと言うよりなし

 福井県の監査における調査は、議員からの事情聴取ではなく、議会事務局の説明を根拠にしていると思われる。

 個々の請求項目に対する記述は平均5~6行。監査委員としての見解を提示し、それによってバッサリと切り捨てる・・といった記述の繰り返しで、後述する福井市の監査報告のような丁寧な説明はなし。

 一例をあげると、住民訴訟後、該当議員によって自主的に裁判所に全額返還された「新春のつどい」に対する支出については、「対象機関からの聞き取りやホームページ等により妥当と認められ」、参加者から徴収した会費については「県政報告会の一環として実施した懇談会にかかる自己負担分である」というものだった。

 そこには、県民に疑惑を持たれた「懇談会」の実態を明らかにしようという意志は伝わってこない。それどころか議員擁護の姿勢さえ感じてしまう。このような緊張感に欠けた監査は、かえって不正の温存、制度改善の妨げになるのではないかとさえ思えてしまう。

(2)福井市の監査~市民に対する説明責任の真摯さ

 比して福井市の監査における調査は、市民が指摘した問題の実態に迫ろうとする努力が感じられた。例えば、自分が代表を務める会社の事務所を議員事務所にして、その家賃を政調費から支出していた件については、「間仕切り等で区分されることのないまま一体として使用されていた」由。このような監査報告で初めてわかった例は少なくない。

 それらの調査を踏まえて丁寧に記述された説明は、かなり長いものの、市民としては、問題提起をきちんと受けとめてもらったという実感の持てる納得のいく記述となっている。

 さらに監査の過程で気付いた制度の不備、制度に対する議員の無理解を放置せず、市長に対する「意見書」を別立てで提出し、適正執行の努力を求めている。県の監査委員が「政調費マニュアルの改善」の求めに対し「監査の対象ではない」と門前払いしたのとは大違いである。

(3)他県では・・・おおいた市民オンブズマンの提訴に返還命令

 「2月24日、大分地裁は、おおいた市民オンブズマンが提訴していた2005年度分の大分県議の政務調査費約1億4500万円の返還を求めた住民訴訟に対し、3616万円の返還を命じた・・」との報道があった。

 ホームページに掲載された判決文を読もうと思ったが、200頁もあって読むのをあきらめた。金額も大きいが判決文も長い。訴状を書いた人の苦労も並大抵でなかったろう・・そんなことを考えているうちに腹が立ってきた。大分県の監査とは何だったのか?

 監査が公正なら、裁判でこんな巨額の返還が求められることはないはずだ。大分県の監査委員は、この判決をどう受けとめているのだろうか。市民は何も好き好んで住民訴訟を起こしているわけではない。監査委員が本来の職務を自覚し、緊張感のある公正な監査に努め、監査の権威を回復することを望みたい。

 

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