2012年度福井市議会政調費住民監査請求の結果について
2012年度福井市議会政務調査費の一部返還を求める住民監査請求の結果について
2012年3月17日
市民オンブズマン福井
1 請求を棄却
2014年(平成26年)1月17日に提出した標記の監査請求に対する監査結果が公表された(福井市監査告示第17号平成26年3月17日)。
本件住民監査請求の対象総額は約356万円、対象議員は18名。
うち、特に人件費(約229万円、18名)及び、事務所費(自宅共有の事務所の光熱水費=約107万円、7名)の支出に対する監査委員の判断を期待していたが、これらを含め、監査委員は請求対象の支出全額に対し「政務調査を充当したことは、認められる」とし、請求を棄却した。
2 私たちの見解(特に人件費、事務所費について)
(1)人件費
監査結果により、17人の議員が1ヶ月1万円ずつ支払って雇用した補助職員の勤務実態について、下記のことが明らかになった。
①補助職員の業務場所は「志政会」控室である。
②勤務状況を把握していたのは「志政会」幹事長だけである。
③業務は、関係職員が話し合って決めた「雇用職員業務要録」に基づいて行われ、政務調査活動以外の業務は行っていない。
監査委員は、上記の実態から「政務調査費を充当したことは認められる」としているが、到底容認できない結論である。以下に理由を述べる。
1)上記①②③のような状況は、補助職員の雇用者が会派の場合にのみ認められるものであり、本件の雇用形態には通用しない論理である。
個々の業務がどの議員の依頼により行われたのかを明らかにしない限り、会派を異にする17名の議員が均等に1ケ月1万円を支出できる証拠が示されたとは言えない。
(もし、遂行された個々の業務が一部の議員の依頼に偏っていれば、業務を依頼していない議員の支出は、他の議員への寄付行為に他ならない。)
2)監査結果の「3意見(1)」において、「本件補助職員は、使用者の指揮命令に服すことなく、使用者から空間的・時間的拘束を受けることなく業務を行い、雇用契約というより業務委託契約と言うべきものであった」と、監査委員自身が認めているように、本件はマニュアルの想定していない支出である。
これほど不透明な勤務実態に対して、月ごとに決まった人件費を支出できる根拠があるとは考えられない。にもかかわらず、この実態を追認した上で、さらに想定外の実態にマニュアルを合わせるべく変更を求めた監査委員の態度は本末転倒である。
(2)事務所費(自宅共有の事務所の光熱水費)
1)私たちの主張
自宅の一室を事務所にしているからといって、自宅で使用する電気、水道、ガス、灯油代等の光熱水費の3分の1(1議員除く)にあたる金額を事務所費で充当しているのは過分で妥当性がない支出である。
2)監査委員の判断
「光熱水費の合理的な按分割合を設定することが困難であるため、マニュアルの『自宅の場合、電話代その他事務機器類の按分率上限は3分の1』を拠りどころにした」との議員の言い分を追認し、「著しく妥当性を欠く過分な支出であるとまでは言えない」と、政務調査費の充当を認めた。
3)認容する市民はいない
政務調査費の原資は市民の税金である。自宅の一室を事務所にしているからと、自宅の光熱水費を、しかも合理的設定が困難だからと高い割合で算出した額を税金で支払っていることを認容する市民がいるだろうか。
4)監査委員の意見
監査結果の「3意見(2)」において「運用マニュアルは、光熱水費について具体的な内容を示していないが、(略)」、「しかし、光熱水費の実支出額は、家族構成や床面積によって大きく左右されること、及び政務調査費は市政に関する調査研究に資するために必要な経費以外のものに充ててはならないとされていることから(略)」と、マニュアルの検討を求めている。
このように、監査委員自身が、本件支出の妥当性に疑問を投げかけているにもかかわらず、疑問のある支出をそのまま認め、マニュアルの変更のみを求めているのは肩すかしをされた思いである。
以上
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