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2014年3月

2014年3月20日 (木)

地方の再生は企業誘致だけではないのでは

地方の再生は企業誘致だけではないのでは・・・

大野市固定資産税損害賠償裁判 原告代表 新家 竹雄


 

 大野市固定資産税損害賠償裁判は、19日の判決で私たち原告の訴えが全面的に認められ勝訴した。(下方★参照)

この裁判の背景には、少子化に輪をかけて、大都会に人口が流出し、人口減少の進む地方都市の姿が映し出されているように思える。

住民は子どもや孫の働く場所の確保を。と自治体トップに要望し、自治体は企業誘致に奔走し、自治体間で企業誘致合戦が行われる。自治体は有利な条件を企業に提示しようとするし、企業は少しでも有利な自治体を選定するために躍起になる。

 

大野市は、企業立地助成金、雇用促進助成金、調整池造成と言う名の工場土地造成、建物修理、道路改修と4億円近い便宜供与を提示した。これらはまだ首長の裁量権の範囲とも考えられる。企業は、これだけでは満足せず、固定資産評価額の減額や登録免許税、固定資産税の減免を要望する。

 地域に潜在的に内在する資源を活用した持続可能な地域再生策ではなく、手っ取り早く企業誘致に走る。こうした構図の中で大野市の事件が生まれた。

 

 次の選挙までに成果をと躍起になり、法・条例・規則に反してまで突き進み、議会にも情報提供せず、嘘の答弁を繰り返し、情報公開の求めにも背を向ける姿勢は、疾しいことがある証拠でもある。

 

 監査委員は、法による監査ではなく、恣意的に法を解釈し、行政の間違いを糊塗するための機関なのか?議会はなんでも賛成議員が多数。等々。

 

 この裁判を通してたくさん学習できたし、田舎暮らしを夢見て移住してきた地方都市の現実を肌身で感じさせられた。忙しくならないよう控訴しないことを願っている。

 

<大野市が課税怠る:固定資産税、住民訴訟で地裁判決>


 
 大野市が木材加工業の会社に売却した市所有の不動産の2011年度の固定資産税の賦課徴収を怠ったのは違法として、固定資産税と同額の1910万円を市に払うよう市長に求めていた住民訴訟。固定資産税は、「当該年度の1月1日時点」の土地や建物の所有者が、当該市町村に支払う地方税。

  市は「11年3月8日の移転登記で所有権が移ったので、同年度の固定資産税は発生しない」と主張していたが、裁判長は「代金が完納し、土地引渡書が発行された10年10月7日に所有権が移った」と判断した。

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2014年3月17日 (月)

2012年度福井市議会政調費住民監査請求の結果について

2012年度福井市議会政務調査費の一部返還を求める住民監査請求の結果について

 

2012年3月17日

 

市民オンブズマン福井

 

1 請求を棄却

 

 2014年(平成26年)1月17日に提出した標記の監査請求に対する監査結果が公表された(福井市監査告示第17号平成26年3月17日)。 

 

 本件住民監査請求の対象総額は約356万円、対象議員は18名。

 うち、特に人件費(約229万円、18名)及び、事務所費(自宅共有の事務所の光熱水費=約107万円、7名)の支出に対する監査委員の判断を期待していたが、これらを含め、監査委員は請求対象の支出全額に対し「政務調査を充当したことは、認められる」とし、請求を棄却した。

 

 

 

2 私たちの見解(特に人件費、事務所費について)

 

(1)人件費

 

監査結果により、17人の議員が1ヶ月1万円ずつ支払って雇用した補助職員の勤務実態について、下記のことが明らかになった。

 

 

 ①補助職員の業務場所は「志政会」控室である。

勤務状況を把握していたのは「志政会」幹事長だけである。

業務は、関係職員が話し合って決めた「雇用職員業務要録」に基づいてわれ、政務調査活動以外の業務は行っていない。

 

 

 監査委員は、上記の実態から「政務調査費を充当したことは認められる」としているが、到底容認できない結論である。以下に理由を述べる。





 1)上記①②③のような状況は、補助職員の雇用者が会派の場合にのみ認められるものであり、本件の雇用形態には通用しない論理である。



 個々の業務がどの議員の依頼により行われたのかを明らかにしない限り、会派を異にする17名の議員が均等に1ケ月1万円を支出できる証拠が示されたとは言えない。

(もし、遂行された個々の業務が一部の議員の依頼に偏っていれば、業務を依頼していない議員の支出は、他の議員への寄付行為に他ならない。)






2)監査結果の「3意見(1)」において、「本件補助職員は、使用者の指揮命令に服すことなく、使用者から空間的・時間的拘束を受けることなく業務を行い、雇用契約というより業務委託契約と言うべきものであった」と、監査委員自身が認めているように、本件はマニュアルの想定していない支出である。

 これほど不透明な勤務実態に対して、月ごとに決まった人件費を支出できる根拠があるとは考えられない。にもかかわらず、この実態を追認した上で、さらに想定外の実態にマニュアルを合わせるべく変更を求めた監査委員の態度は本末転倒である。




 

(2)事務所費(自宅共有の事務所の光熱水費)

 

1)私たちの主張

 

 自宅の一室を事務所にしているからといって、自宅で使用する電気、水道、ガス、灯油代等の光熱水費の3分の1(1議員除く)にあたる金額を事務所費で充当しているのは過分で妥当性がない支出である。

 

 

 

2)監査委員の判断

 

「光熱水費の合理的な按分割合を設定することが困難であるため、マニュアルの『自宅の場合、電話代その他事務機器類の按分率上限は3分の1』を拠りどころにした」との議員の言い分を追認し、「著しく妥当性を欠く過分な支出であるとまでは言えない」と、政務調査費の充当を認めた。

 

 

 

3)認容する市民はいない

 

 政務調査費の原資は市民の税金である。自宅の一室を事務所にしているからと、自宅の光熱水費を、しかも合理的設定が困難だからと高い割合で算出した額を税金で支払っていることを認容する市民がいるだろうか。

 

 

 

4)監査委員の意見

 

 監査結果の「3意見(2)」において「運用マニュアルは、光熱水費について具体的な内容を示していないが、(略)」、「しかし、光熱水費の実支出額は、家族構成や床面積によって大きく左右されること、及び政務調査費は市政に関する調査研究に資するために必要な経費以外のものに充ててはならないとされていることから(略)」と、マニュアルの検討を求めている。



  このように、監査委員自身が、本件支出の妥当性に疑問を投げかけているにもかかわらず、疑問のある支出をそのまま認め、マニュアルの変更のみを求めているのは肩すかしをされた思いである。

 

以上

 

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2014年3月16日 (日)

原発事故による放射性物質拡散予測図の公開を求め提訴

滋賀県の、原発事故による「放射性物質拡散予測図」/一部非公開処分に提訴

2014年3月5日、標記の情報公開訴訟を行いました。

(「行政文書不開示処分取消請求事件」(平成26年(行ウ)第3号)

 ◇趣意

 「3.11」以降、原発の安全性は、原発立地県か否かを問わず市民の重大な関心事であり、況や福井県においては県民ひとり一人が、正確で多面的なデータに基づいて考えていくべき問題である。

 

  にもかかわらず、その有力な判断材料となる資料を「非公開」とした福井県の姿勢、及び「異議申立」を長期間放置し、県の姿勢に追随した審査会の態度は不可解以外の何ものでもない。

 

  「秘密保護法」の成立による情報公開の後退が危惧されている中、あたかもそれを先取りするかのような福井県の姿勢を、私たちは認容するわけにはいかない。

◇ 提訴までの経緯

(1) 2012年5月、滋賀県が「福井県の原発で重大事故が起きた場合の放射性物質の拡散シミュレーション結果」を、関係府県に、それぞれの府県分のみのデータを提供した。

(2) 同年5月28日に、市民オンブズマン福井のメンバー(以下、請求人と表示)が、以下の文面で福井県知事に情報公開請求を行った。

 「福井県の原子力発電所の重大事故を想定し、滋賀県が独自に実施した放射性物質の拡散予測について、同県から情報提供された文書・資料の全部。」

(3) しかし、同年6月11日に「公文書一部公開決定通知書」が出され、請求に係る公文書のうち、分布図については、「滋賀県および福井県が行う防災対策に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」福井県情報公開条例第7条第7号に該当するという理由で、非公開処分になった(表題、凡例および滋賀県の区域の部分を除く)。

 そのため、請求人は同年6月20日に「異議申立書」を提出した。さらに、異議申立に対し福井県知事が提出した「理由説明書」に、同年9月27日付け「意見書」で反論を行った。

(4) 答申が出されたのは、異議申立から13か月余り経過した翌年(2013年)の8月2日。「滋賀県が独自に設定した条件の下に行ったシミュレーションの結果であり、実効性のある地域防災計画の作成に大きな支障を生じる恐れは否定できない」とする、県の非公開理由を追認した内容であった。

 知事は、2013年9月5日付(危第865号)の決定書において答申通りの決定を下した。


(5) 2014年3月5日、請求人は、代理人(市民オンブズマン福井幹事の弁護士)を立て福井地裁に提訴した。   以上

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2014年3月10日 (月)

「口利き記録制度」の形がい化?

 

「口利き記録制度」の形がい化?

 

 

 

通称「口利き記録制度」が福井市でスタートしたのは2003年(平成15年)。市会の一会派が開いた宴席に、大型予算を抱えた担当課長十数人と特別職が出席していたと新聞が報じた(同年7月)のがきっかけだった。 

 

 

 

当然市民の批判が高まり、私たち市民オンブズマン福井も即、書面で口利き記録制度の早期導入を申し入れた。

 

報道の翌月に、弁護士ら第三者を含む制度検討委員会が設置され、11月1日、職員が職務に関する要望、相談を受けた場合、すべて記録票に記載するという「職務に関する働きかけの記録等取扱規程」が施行された。 

 

 

 

このような経緯から、当初は関心も高く、さらに記録票の内容は情報公開の対象とされたため、地元新聞も1か月後、3か月後の状況を詳細に報道している。

 

ところが、ふたつの記事を読みなおしてみると、先の記事が、どちらかと言えば制度への期待感を表していたのに対し、それから2か月後の記事は、制度が実態を反映するまでに至っていないという内容で、「市役所の古い体質を3か月で変えるのは難しい」との、当時の総務部長のコメントも載せていた。

その後約10年間は、制度をとりあげた記事を目にした記憶はない。 

 

 

 

記録票の件数も激減。先日情報公開請求をしたところ、2010年(平成22年)9月1日付の「117件目」を最後に報告の記録が途絶えていた。そもそも職員が制度を周知しておらず、また周知させる工夫も取り組みも行われていないというのが現状のようだ。 

 

 

 

制度の目的は、単に不当な要望を排除するだけではない。市への要望、やり取りを、担当した職員だけが抱え込まず、全職員が情報として互いに共有するためのシステムである、職員が風通しのよい環境で働くのは、市民にとって大きなメリットではないだろうか。(伊東)

 

 

 

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