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2014年9月 9日 (火)

新幹線とトンネルの話

 新幹線とトンネルの話 (幹事 大久保公夫)

 お盆前、青森に帰省した。日本海に沿って走る寝台列車が廃止となり、東京経由で東海道~東北新幹線を乗り継ぐほかなくなり、料金も上がった。新幹線をつくると、それに乗せるようにするのがJRの方針らしい。

 

 新幹線は「トンネルを掘るためにあるのではないか?」と思うのは小生だけだろうか。盛岡から新青森までわずか1時間だが、区間のほとんどがトンネルだ。速いのだが、景色も風情もあったものではない。こうまでするか!どの新幹線でも同じことだが・・・

 もうすぐ金沢まで新幹線が来る。「バラ色の絵」が喧伝され、「在来線がどうなるか」なんていう話はほとんど出てこない。それどころか、福井まで来る前から「早く敦賀まで」、「大阪まで」の声が響いている。この声が「もっと長いトンネルを掘りたい」と聞こえる小生の耳はおかしいだろうか。

 「無駄な公共事業」に対する批判が後退し、財政難も、費用対効果も、環境に対する影響も軽視されたまま、本当に便利になるのか?という疑問も置き去りにされたまま、「とりあえずの経済効果」だけが走っているように思われてならない。


* いつまでも歩けるようにと、50の頃から道歩きを始めた。ひまを見て旧北陸道や奥琵琶湖を1回に15㎞くらい歩いているが、そのたびに「男は1日10里」という昔の人の健脚に驚かずにはいられない。

 旧街道には寺や神社が多く、今庄までの間には鯖江武生のほか、浅水・水落・湯尾などの宿場跡や茶屋の跡、一里塚の跡などがある。奥琵琶湖には、塩津・大浦・今津などに水運で栄えた面影が残る。人と物がゆっくりと移動することによってもたらされた、ささやかな賑わいの跡である。


 そういうものを見ながら10年ほど歩いているうちに、「新幹線や高速道路は通過地点を繁栄させることはなく、大都市や大手企業に富を集中させる太いパイプだ」と思うようになってきた。「バラ色の絵」は、「地方の絵」にはなるまい。


* 「もっと早く、もっと便利に」という価値観に反対するのは馬鹿げているのだろうし、誰も抵抗できない。しかし、それによって失われたものは大きい。県内各地の疲弊を目の当たりにして「それだけでいいのか」と問うことは許されるし、問われるべきだと思う。地域が自立し、人々が生活を立てていく上で、日本列島に穴を掘り、コンクリートを入れ続けることが正しい方向だとは思えない。 
 (2014年9月会報)

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