13年度福井市議会政務活動費住民監査請求の結果について
2013年度福井市議会政務活動費の一部返還を求める住民監査請求
― 監査結果について ―
2014年12月18日
市民オンブズマン福井
1 福井市監査告示第8号平成26年12月18日
2014年(平成26年)10月21日に提出した標記の監査請求に対する監査結果が公表された。
2 請求は棄却
本件対象総額は295万9106円(人件費204万円、事務所費91万9106円)。対象人数は18名(人件費17名、事務所費7名、内重複6名)。監査委員は請求対象の支出について、いずれも政務活動費を充当したことは、認められるものと判断し、請求を棄却した。
3 私たちの見解
(1) 総括
全体として、議員に対して厚く配慮するのみで、市民の訴えに正面から向き合って不当な支出の削減に努力しようとしない、きわめて無責任な監査結果と言わざるを得ない。
昨年に続き、個々の議員ではなく福井市議会事務局庶務課のみを対象として監査が行われたことは、行政組織内部の「談合」とも言うべき不当な態度である。
「3 意見」において自ら「政務活動費執行にあたっての留意事項」の3項目を指摘しながら、特に(2)および(3)を意図的無視した不当な判断というほかない。
(1)政務活動に必要性があり、要した金額や態様等に妥当性があること
(2)適正な手続きがなされていること
(3)支出についての説明ができるよう書類等が整備されていること
人件費について、「『政務活動費における人件費の定義を逸脱しているのは明らかである』との請求人の主張については、否定することができない。」と認識しながら、「政務活動費を充当したことは、認められる」と是認したのは理解に苦しむ。
光熱水費の支出に関しては、判例さえ無視した「議員本位」の判断である。
(2) 人件費
会派を異にする17人の議員が“1ヶ月1万円ずつ”政務活動費の人件費から支出して、補助職員1名の給与(17万円)を支払っている、即ち1人の職員が17人の議員を雇用者に持つという実態に係る支出の監査請求である。
2012年度分(政務調査費)の同内容の支出に対しても住民監査請求を行ったが、監査委員は、前回に続いて今回も請求人の主張を認めながら棄却した。
2012年度の監査請求については「本件補助職員は(略)雇用契約というより業務委託契約と言うべきものであった」と、政務調査費の人件費としては想定外である実態を認めながら、運用マニュアルの方を想定外の実態に合わせる意見を述べた本末転倒の判断だった。
今回は、職員の勤務、業務処理ともに「政務活動費における人件費の定義を逸脱している」との私たちの主張を「否定できない」実態と認めながら、「人件費というより資料作成費として支出するのが適当である」とことわり、政務活動費充当を認めた。
定義を逸脱した支出の問題点に踏み込まず、費目の該当性にすり替えた判断に至っては、政務活動費のマニュアルのみならず条例も制度も形がい化されたに等しい。
(3) 事務所費
一室を事務所にしている自宅の光熱水費(電気、水道、ガス、灯油代等)を、高い按分率で算出した額を支出しているもの。
2012年度分(政務調査費)の同内容の支出に対しても住民監査請求を行ったが、監査委員は、前回に続いて今回も棄却した。
前回の監査請求においては、支出の妥当性に一部疑問を投げかけるような意見が述べられたが、今回は「運用マニュアルを拠りどころとしながら、各議員が自己責任に基づいて自律的に計上したこれらの金額が、不当な支出であるとまでは言えないと考える」と、議員寄りの姿勢がより鮮明になった。
監査請求書においては、運用マニュアルには一室を事務所にしている自宅の光熱水費については指針がないこと、意見陳述においては、この点において明確な判断を示した大阪高裁の判決を強く主張した(※参照)。が、監査委員には請求人である市民の意見の真意はまったく届いていない。
(4) 結果に対する検討
なお、今回の結果については、年内に幹事会を開き検討協議する予定である。
(※)意見陳述書より
本件監査請求と内容は異なるが、自宅事務所の維持費について明確な判断を示した2007年12月26日の大阪高裁判決を参考にしていただきたい。寝屋川市議会の会派が、議員が自宅を事務所として使用している者に対し月額1万円の事務所維持管理費を支出した事例の判決である。
「そもそも、自宅を事務所とする議員について、当該議員の自宅の光熱費、水道代、電話料金等の維持管理費には、議員を含む家族の私用に供されたもののほか、議員の一般の議員活動に供されたものがあり、かつ、議員の一般の議員活動のうちには、政務調査費をもってその費用に充てることが許される市政に関する調査研究活動が含まれるとしても、その具体的な割合は、議員としての活動の実態を踏まえても、一般の議員活動にかかるものは自宅全体にかかる光熱水費、水道代、電話料金等の維持管理費の3分の1を超えるものではなく、政務調査費をもって充てることが許される市政に関する調査研究活動にかかるものは上記部分の更に3分の1を超えるものではないというべきであることからすると、自宅事務所の維持費としての月額1万円の額は、過少であるとも市民の理解を得られる範囲内であるとも認められない。」
として全額違法とした。
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