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2015年9月

2015年9月16日 (水)

福井県内議会「政務活動費に関する調査」を実施

福井県内議会「政務活動費に関する調査」

▼私たちは県と福井市の政務活動(調査)費支出の検証を続けてきましたが、不適正な支出の防止には、透明性とともに市民の関心を高める必要があると考え、福井県内で政務活動費を交付している10の議会にアンケートを郵送 (2015/6/15)し、さらに担当者に電話で聞き取りを行いました。

▼ 質問は、政務活動費の交付対象(議員か会派か)と交付額、2014年度の執行率、支出証拠資料の公開の環境(誰でも閲覧できるか、ネット公開されているか、など)と公開の状況(会計帳簿、旅費と宿泊費の領収書は公開されているか)ほか。それらの結果は各議会に郵送(2015/9/14)しました。  

▼以下は、今回の調査結果に対する私たちの見解(補足説明の結び)です。

≪ 政務調査費は、2012年の地方自治法改正により政務活動費と名称をあらため、その使途が一部拡大されるとともに、議長に対して、使途の透明性の確保に関する努力義務が明文化された。

 透明性の確保とは即ち、支出証拠資料の全面公開であり、さらに公開の環境を整えることも含まれる。 これは公開するがあれはだめ、事務局に来れば閲覧はできるがネットには載せない、収支報告書に政務活動費による収入を超えた支出まで書き込むのも認める等々、今回の調査の結果は、透明性の確保にほど遠い状況が大勢であった。

 これらが、議員の政務活動費という公費を使用することへの緊張感を希薄にし、引いては違法、不当な支出につながるのは、昨今の政務活動(調査)費の違法、不当な支出の報道が示す通りである。

 公開状況と執行率を単純に関係づけることはできないが、ネット公開している越前市と小浜市の執行率が低いのは事実である。

 ところがネット公開には6つの議会事務局が「検討の予定なし」と答え、さらに「何人も閲覧と写しの交付が可」ではない議会が4つも存在する。

 そもそも閲覧の事例がないと答えた議会も複数あったが、市民の政務活動費への関心が高まれば議会、議員活動への関心も連動するのではないだろうか。各議会の議長ならびに議員には、今回の調査の結果を、議員の都合ではなく市民の側に立って検討していただくことを望みたい。

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2015年9月 9日 (水)

9月9日判決*行政文書不開示処分取消請求事件

                                     「判決を受けて」  

平成27年9月9日福井地裁判決言渡/行政文書不開示処分取消請求事件(平成26年(行ウ)第3号)

                                               原告代理人(市民オンブズマン福井幹事)

 

 残念ながら,原告の訴えは退けられてしまいました。 

 判決は、「不開示情報に当たるか否かの判断については、情報公開の実施機関の裁量が一定程度認められる」とした上で、「実施機関の専ら主観的判断に委ねたのでは、県民の公文書公開請求権が十分に保障されるように解釈・運用することを定めた条例3条前段及び条例前文の趣旨に反することになる」として、(福井県情報公開条例)第7条7号所定の「適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」とは、当該情報の公開により当該事務又は事業の遂行に支障を及ぼすことについての客観的な危険性が認められるものをいい、この点に関する実施機関の裁量的判断に合理性が認められる限り、これを違法とすることはできない」 という判断の枠組みを示しました。

 そして、判決は、結論的には、不開示としたことについて、「福井県知事の裁量の範囲を逸脱して違法であったとまではいえない」と、知事の判断を是認してしまいました。  

 客観的な危険性があるか否かを厳密に判断すれば、およそ、適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない、と言わざるを得ないというのが、原告の主張だったのですが、判決は、知事の判断を安易に追認したとしかいいようがありません。

◇  

では、この訴訟は無意味だったのでしょうか。私はそうとは思えません。 

原告の訴えは、福井県の情報公開の在り方に反省を迫るものだったと思うからです。   

市民オンブズマンには、行政の姿勢を常に監視する役割が期待されています。今後も、行政と、いい意味での緊張関係が形成されるように頑張りたいと思います。(以上)

※参考①

2012(平成24)年5月28日/情報公開請求

2012(平成24)年6月20日/ 異議申立書提出

2013(平成25)年8月2日/福井県公文書公開審査会(答申第88号)

2013(平成25)年9月5日/知事の決定書送付(危第865号)

2014(平成26)年3月5日/提訴

※参考②

2014年3月16日 (日)

≪原発事故による放射性物質拡散予測図の公開を求め提訴≫ http://3courage.cocolog-nifty.com/ombuds_fukui/2014/03/post-52fa.html 

 「3.11」以降、原発の安全性は、原発立地県か否かを問わず市民の重大な関心事であり、況や福井県においては県民ひとり一人が、正確で多面的なデータに基づいて考えていくべき問題である。

 にもかかわらず、その有力な判断材料となる資料を「非公開」とした福井県の姿勢、及び「異議申立」を長期間放置し、県の姿勢に追随した審査会の態度は不可解以外の何ものでもない。

  「秘密保護法」の成立による情報公開の後退が危惧されている中、あたかもそれを先取りするかのような福井県の姿勢を、私たちは認容するわけにはいかない。

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