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2016年2月10日 (水)

議員と議会のやることを疑うな!・・福井地裁判決

<議員と議会のやることを疑うな!・・福井地裁判決> 

2013年度福井市議会政務活動費事務所費返還請求

▼判決/被告の言い分をまる飲み

 2016年2月10日、標記の訴訟(平成27年(行ウ)第1号)の判決言渡しが福井地裁であった。判決は原告の請求をいずれも棄却。全国的に展開されている政務活動費の使途の透明化に水を差し、被告の言い分をまる飲みにした、市民の常識の及ばない不当な判決だった。

▼提訴

 提訴は2015年1月15日、原告は市民オンブズマン福井のメンバー3名、被告は福井市長。

 福井市議6人が2013年度政務活動費において、事務所費で支出した計88万9872円(※)を市に返還させるよう、被告に求めたもので、5回目の弁論で結審した。

  6人中5人は、住居(自宅)の一室を事務所とし、同居家族も使用した住居全体の光熱水費(電気、ガス、水道、灯油など)の全額の1/3を政務活動費の事務所費で充当し、1人は稼業の工業所の事務所を共同使用し、工業所全体で使用した光熱水費の全額の1/10または1/20を政務活動費の事務所費で充当していた。

  ただし、提訴直後に、5人中の1人が返還請求対象の全額を自主的に返還したので、相手方を5人、請求金額を68万1184円として審理が進められてきた。

▼弁論~判決

 私たちは、

「政務活動に多くの電気や水は必要ない」こと、

「政務活動費マニュアルは、自宅の一室を事務所として使用する場合、電話代や事務機器代の1/3を事務所費として計上できるとしているが、5人はこの部分を拡大解釈しており、他の1人の按分には根拠がない」こと、

「按分のベースは、住居であれば、家族を含めた生活に要した割合を控除した残額である」ことを、判例(平成18(行コ)78大阪高裁)等を以て主張してきた。

また「マニュアルの記述も一貫性を欠いた不十分なものである」とも述べた。

 しかし、被告は、事務所の使用実態などを明らかにするべく、私たちの提出した「求釈明書」にも、議員活動に対する過干渉のおそれを理由に一切拒否。

 提訴直後に全額返還したため取り下げた1議員の支出同様、5議員の支出実態、最後まで闇のままだった。にもかかわらず、「(議員の)自律的な判断に裁量の逸脱又は濫用があると認めるに足りる的確な証拠はない。」とされた。

▼「当裁判所の判断」の冒頭部分

 「このように、政務活動費が議員活動の公費による助成という性格を有しているにもかかわらず、その使途の透明性の確保が基本的に議員並びに議員から収支報告書及び証拠書類の提出を受ける議長に委ねられ、その使途の適正性について執行機関等による厳密な審査が認められないという制度が採用されている趣旨は、

政務活動費の使用の適正性については、第一次的に議会に自律的に確保させることにより、議員等の政務活動に対する執行機関からの不当な干渉を防止するというところにあるものと解される。

したがって、議員等による政務活動費の使用の適正性の確保については、第一次的には議員及び議会がその自律的判断について政治的責任を負うにとどまり、その自律的判断に裁量の逸脱又は濫用が認められない限り、違法の問題は生じないというべきである。」

・・・・これは、「議会のやることを、いちいち疑うな。具体的な証拠がないのなら、ただの言いがかりにすぎないのだ。」と、一般市民に向かって言っているに等しいのではないか。

▼今後の対策等については、近々の定例会等で検討する予定。 (事務局、伊東) 

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