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2016年6月15日 (水)

名古屋高裁金沢支部の判決について

平成28年(行コ)第4号 

 「2013年度福井市議会政務活動費事務所費返還請求訴訟」 

名古屋高裁金沢支部の判決について

 

2016年6月15日

市民オンブズマン福井(本事件原告)

 

 

1 名古屋高裁金沢支部の判断 ~ このような裁判所の姿勢こそが 裁判制度を利用しようとしている市民の数を減らす一因である

 

(1)ずさん極まりない不当判決

 

2016年2月10日付けの福井地裁に対する同年2月22日付けの控訴について、名

古屋高裁金沢支部は、原告の訴えを棄却しました。

 

本件交付条例や本件マニュアル等の関連法令等を検討しても、政務活動費の支出に当たり政務活動の具体的な実績を詳らかにすべきことを定める規定は見当たらない。」がその判断です。

 

議員活動への過干渉のおそれを理由に、5議員の自宅(あるいは事業所)共用の事務所の光熱水費の使用実態を明らかにすることを拒否した被告の言い分をまる飲みにした福井地裁判決の追認に留まらず、さらに強固に市民の主張を排除した不当判決です。

しかも「本件交付条例や本件マニュアル等の関連法令等」との記述が示すように(マニュアルはそもそも法令ではない)、ずさん極まりない判決です。

 

 

(2)判例も新証拠も無視

 

自宅の一室を事務所にしている場合、政務調査費(当時)から支出できる光熱水費は全体の支出の9分の1を超えるものではないと判断した「大阪高等裁判所判決(平成18年(行コ)78)」(甲12)を、福井地裁は「使途基準(マニュアル)が存在しなかった当時のもの」と退けましたが、控訴理由書では「使途基準が具備すべき内容を先駆的に示したもの」だと主張しました。

 

しかし、高裁は判例を一顧だにしておらず、高裁に提出(甲14)した「福井市議会基本条例」に対しても然りであり、「なぜ政務活動に水道代まで含む多額の光熱水費が必要なのか」という市民感覚は全く無視されました。

 

(3)私たちの見解

 

政務活動費の使途に対する市民の批判が強まっている状況に鑑みるなら、地方議会議員の不当な政務活動費の使用に対し、司法による厳正なチェックこそが求められているにもかかわらず、今回の高裁の決定は、市民の司法に対する期待を完全に裏切るものです。

このような裁判所の姿勢こそが 裁判制度を利用しようといている市民の数を減らす一因ではないでしょうか。

 

しかし、「政務活動費は公費である以上、支出の透明化を図り、無駄遣いはやめるべきだ」という私たちの主張は変わりません。今回、上告はしませんが、今後も政務活動費の支出の検証を続けていきます。


 福井市議会に対する要望

 

市民は今回の福井地裁、名古屋高裁金沢支部の判決に納得しているわけではありません。

 

「福井市議会基本条例」第13条第2項には「会派及び議員は、政務活動費の収支報告書について、市民に対し、自ら説明責任を果たさなければならない。」、さらに同第3項には「議会は、会派及び議員による政務活動費の適正な執行に資するため、必要に応じ、その執行に係る運用の基準等を点検するものとする。」とあります。

議員諸氏には、自ら定めた本条例の遵守を、訴訟の結果如何に関わらず、強く自覚することを求めるものです。

 

 

これまでの経緯)

福井市議5人が2013年度政務活動費において、事務所費で支出した計約68万円を

市に返還させるよう、福井市長に求めたもの。自宅と事務所を共用している4議員は、家庭全体で消費した光熱水費(電気、水道、ガス、灯油)の3分の1の支出を政務活動費(事務所費)で充当、稼業の板金工業所と共用している1議員は事業所全体の光熱水費の一部(按分率の根拠不明)を事務所費で充当。私たちは、「政務活動に多くの電気や水は必要ない」こと、また「マニュアルの記述も一貫性を欠いた不十分なものである」ことを主張してきた。

 

 

 

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