控訴審判決~2013年度福井市議会政活費事務所費返還請求
≪2013年度福井市議会政務活動費事務所費返還請求訴訟
控訴審判決(平成28年(行コ)第4号≫
▼ 本日(2016年6月1日)、名古屋高裁金沢支部で、標記の判決が言い渡されましたが、「本件控訴をいずれも棄却する。」でした。被告の言い分をまる飲みにした不当な福井地裁判決を追認したばかりか、市民の主張など入り込む隙を与えないと言われてしまったような判決です。
▽ 地裁審理において、自宅(あるいは事業所)共用の事務所の光熱水費の使用実態を明らかにするべく、私たちは「求釈明書」を提出しましたが、被告は議員活動への過干渉のおそれを理由に一切拒否し、原告の私たちには何も証拠が示されないまま結審しました。
それにも関わらず、原審の「本件においては、その裁量の逸脱又は濫用を疑わせる事情を認めるに足りる証拠はない。」とした判決(原審判決文P11の4~5行目)を、高裁はさらに強固に「『裁量権を逸脱しているとか、又は濫用していると認めることができない。』に改める。」と補正しました。
▽また、私たちが地裁審理において証拠資料とした東京都水道局等のデータをも、高裁は「機械的に当てはめて、本件議員らの住居等兼事務所における電気や水等の使用状況、あるいは自宅又は事業所の光熱水費を算出することができるとは到底考え難い。」としましたが、「政務活動になぜ多くの水や電気が必要なのか?」という市民感覚を顧みない機械的な判断ではないでしょうか。
▼ 兵庫県議会議員の政務調査費の不正使用を発端として、政務活動費の使途に対する市民の批判が強まっている状況に鑑みるなら、地方議会議員の不当な政務活動費の使用に対し、司法による厳正なチェックこそが求められています。
今回の高裁の決定は、市民の司法に対する期待を裏切るものですが、「政務活動費が税金によって賄われていることを自覚し、無駄遣いはやめるべきだ」という私たちの主張は変わりません。近々の対策については、6月の定例会で検討の予定です。
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≪当裁判所の判断≫
当裁判所も、控訴人らの本件請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおり補正するほかは、原判決「事実及び理由」欄の第3に記載されたとおりであるから、これを引用する。
1 原判決11頁4行目の「本件においては、」から5行目の「証拠はない。」までを「本件交付条例や本件マニュアル等の関連法令等を検討しても、政務活動費の支出に当たり政務活動の具体的な実績を詳らかにすべきことを定める規定は見当たらない。
そして、これを詳らかにすることを求めないとしても、議員等の政務活動に対する執行機関等からの不当な干渉を防止す必要があること、本件マニュアルが、事務所を住居等と共用している場合に、社会通念上不合理とはいえない按分率によって支出が認められる政務活動費の上限を画していることに照らせば、このことが議会の自律的判断に係る裁量権を逸脱しているとか、又は濫用していると認めることができない。」に改める。
2 原判決12頁11行目の「認め難い。」の次に「また、控訴人らの指摘するデータ(甲10,11)は、あくまで東京都の一般家庭における水の使われ方や全国的にみた傾向としての一般家庭における電気消費量の割合を示すものにすぎないと解されるから、これを機械的に当てはめて、本件議員らの住居等兼事務所における電気や水等の使用状況、あるいは自宅又は事業所の光熱水費を算出することができるとは到底考え難い。」を加える。
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以下は、事前の記者室へのFAX文(一部転載)
<結審までの経緯>
控訴/2016年2月22日
控訴理由書等提出/同年4月6日
被告の答弁書受け取り/同年5月11日
第1回口頭弁論(並びに結審)/同年5月18日
<概要>
訴訟相手方は、自宅の一室を事務所にしているという理由で、家庭全体で消費した光熱水費(電気、水道、ガス、灯油)の3分の1を政務活動費で支出している4議員と、稼業の板金工業所の同費用を根拠のない按分率で支出している前議員。原審において、市長側は原告の求釈明を拒否したので、支出の根拠は何一つ無しのまま、判決が下されたもの。
控訴理由書には「福井市議会基本条例」を甲14号証として提出、同条例第13条第2項は「会派及び議員は、政務活動費の収支報告書について、市民に対し、自ら説明責任を果たさなければならない。」と定めている。
また原審において証拠資料とした「※大阪高等裁判所判決(平成18年(行コ)78)」を、福井地裁は「本判決は使途基準(マニュアル)が存在しなかった当時のもの」だと退けたが、控訴理由書では、「大阪高裁判決は使途基準が具備すべき内容を先駆的に示したもの」だと主張した。
(※)2007(平成19)年12月26日確定判決/自宅の一室を事務所にしている場合、政務調査費(当時)から支出できる光熱水費は全体の支出の9分の1を超えるものではないと判断。
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