県会が政活費領収書は原本提出に
◇ 福井県議会の議会改革検討会議は、12月定例会の最終日である12月19日に開かれた議会改革検討会議において、政務活動費の支出証拠資料として提出する領収書は原本だけとすることを決め、政活費運用マニュアルを書き換えるとしました。
本定例会の初日に、当会が『政務活動費の領収書(支出証拠書類)を原本提出とすることを求める申入れ』を書面で行っていたものです。
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2017年11月28日
福井県議会議長 松田泰典様
市民オンブズマン福井
< 政務活動費の領収書(支出証拠書類)を原本提出とすることを求める申入れ>
政務活動費の運用について、全国的に頻発している不正の状況を踏まえ、
下記の通り改善を申し入れます。
記
(1)領収書の偽造による不正支出が続発
政務活動費支出の重要な証拠書類である領収書について、「写しの提出で良い」としていた自治体で、領収書のねつ造、改ざん等による不正支出が相次いで発覚しています。
富山市議会では昨年、印刷費の架空請求など4000万円を超える政務活動費の不正や不適切な使用が明らかになり、38人の議員のうち14人が辞職しました。最近では、神戸市議会議員の「印刷業者へ架空発注」による720万円余り不正、埼玉県議会議員の領収書偽造による約545万円の政務活動費の不正が発覚し、いずれも議員を辞職しています。
提出すべき領収書については、「東京・市民オンブズマン」が、2016年11月
に行ったアンケートに基づいて、2017年5月に次のような見解を示しています。
…政務活動費は、議員の個人収入として扱われていないので、収入として
課税対象にならない。
政務活動費の支出についての領収書は、自治体職員が公務で支出した場合の領収書と同じ位置づけになるはずである。そうであれば、領収書を原本で提出させるべきは当然である。
また、そうしないと、写ししか提出しなかった議員は、領収書の原本を他に流用することができてしまう。…
私たちは、多数の不正を招く原因は、議会が定めている政務活動費の「運用マニュアル」の欠陥にあると考えています。
(2)福井県議会は、「マスキングした領収書の写し」を容認
驚くべきことに、福井県、愛知県、和歌山県、岡山市の4つの議会においては、「議員や会派が、非公開の部分をあらかじめ黒塗りにした領収書のコピー」の提出を容認していることが、全国市民オンブズマン連絡会議の調査(2017年6月)で明らかになりました。
福井県議会の政務活動費マニュアル(P25)は、
「収支報告書に添付する『領収書その他の収支報告書の内容を証する書類(領収書等、支払証明書、政務活動費の使途内容を証明する書類)』の写しに、福井県情報公開条例で定める個人情報等の非公開情報が記載されている場合は、この部分を伏せて閲覧に供することとされているので、マスキングのうえ提出してください。」となっています。
(3)マニュアルの重大な問題点
上記の福井県議会のマニュアルの規定には2つの重大な問題点があります。
第1は、領収書が「写し」で良いとされていることです。これでは、既に(1)で指摘した通り「領収書の原本を流用する」ことが可能になり、「領収書の偽造」も簡単にできてしまいます。
第2は、「マスキングした写し」の提出を認めていることです。これは、議会事務局自らが、チェック機能を放棄したに等しい誤った運用と言わなければなりません。 マスキングは、あくまで証拠書類等を閲覧・公開する場合に施せば済む措置です。議会事務局が保管する領収書は、「マスキングしていない領収書」の「原本」でなければ、問題が発生した時に何の役にもたちません。
(4)領収書の「原本提出」を求めます
福井県議会においても、少なからず疑念の持たれる政務活動費支出が発覚しています。政務活動費が透明性を持って公正に支出されるよう、政務活動費の支出の根拠となる領収書は、「原本のまま、マスキングせず」に提出することとする、マニュアルの速やかな改定を求めます。
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