情報公開請求件数と開示状況の調査結果
2016、17年度 県内17市町の
情報公開請求件数と開示状況の調査結果について
2018年12月 市民オンブズマン福井
市民オンブズマン福井は9、10月に、県内17市町を対象に、郵送により情報公開請求件数と開示状況に関する調査を行いました。集計結果と見解を明らかにします。
1 全体的な状況(別紙「集計表」参照) ※ 集計表は掲載略します
① 2017年度から池田町で制度が作られ、県内全ての自治体に情報公開制度ができました。しかし、10の市町が「請求権」を「広義住民」に制限しており、引き続き制度の改善が求められています。
② 情報公開制度は、福井市、勝山市、越前市、小浜市などではかなり活用されており、都市部では定着してきていると考えられます。
③ 開示については、「一部公開」や「非公開」の件数がかなり見受けられますが、請求資料の内容までは調査できませんので、コメントすることはできません。
2 注意すべき事例 ※ 詳細の掲載は略します
(1)鯖江市が、「文書の存否」を明らかにせずに不開示
(2)池田町の運用について
(3)勝山市が、「広義住民」以外の請求者から1,000円の手数料
3 請求権の制限撤廃を
(1)条例改正の申入れ
4市6町(福井市、敦賀市、大野市、坂井市、池田町、南越前町、美浜町、高浜町、おおい町、若狭町)では、情報公開請求権に制限を設けています。6月に「何人も請求できる」条例に改正するよう申入れを行いましたが、前向きな回答は敦賀市と同市議会のみでした。
しかし、情報の流れは行政区画を越えて存在し、また、住民の生活領域や経済活動領域も広域化しており、行政の影響の及ぶ範囲をその域内に限定する実益はあるのでしょうか。
自治体は様々な方法で広く域外に情報を発信しており、域内住民に限らず広く意見を取り入れようとしています。
公開された情報の利用を住民に限定するのではなく、請求権者の範囲を広げ、何人も公開請求ができるようにするのは、時代の要請ではないでしょうか。
(2)任意公開(開示)について
4市6町のうち、福井市(33条)、大野市(17条)、坂井市
(30条)、池田町(19条)は任意公開(開示)申出の規定を設けて
います。任意公開(開示)申出とは、この規定に基づき行う手続きであ
り、各所管課が任意に資料を提供する事ではありません。
また、任意公開(開示)申出は、情報公開請求とは異なり、非公開に
対して異議を申し立てることができません。
なお、大野市と坂井市に「平成30年度の4月~6月の市長交際費の支出内容」について任意公開(開示)申出を行ったところ、坂井市は香典の相手方も含め全部開示、一方大野市は弔費、慶祝費、接遇・渉外費の相手方等は非公開でした。
4 大野市民の「小中学校再編計画議事録公開訴訟」
大野市住民の、小中学校再編計画に関する審議会議事録の情報公開請
求に対し、市教育委員会は「一部公開」といいながら、大部分を黒塗に
した文書を示しました。
住民の審査会に対する不服申し立てはおおむね認められましたが、大
野市がこれを無視したため、やむなく住民は訴訟を起こしました。
2018年11月14日、福井地方裁判所は住民の申し立てをほぼ認
める判決を言い渡し、「市民において、本件審議会、当初の議論の内容
についても、確認する必要性は高いものといえる」としました。
原告は「今後は市民に開かれた行政になることを期待する」と述べて
いますが、一連の大野市の態度は大きな問題と言わざるを得ません。
5 情報公開制度をもっと身近に
県内市町の情報公開制度の浸透度を計る一端として情報公開請求件数を調査しました。
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、情報公開制度を
使う効果について「人々が地域について考えるきっかけになるだけで
なく、住民が情報を分析することで行政側が気がつかなかった課題が
明らかになることもある」と述べています(2018年11月19日 日経新聞)。
市町には、情報公開制度をもっと身近に使えるように、ホームページ
でのよりわかりやすい説明や、アクセスしやすくするなどの工夫、住民
が足を運んだ時には職員が丁寧に対応するなどの配慮を期待します。
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