政務活動費の公開度改善を求める要請書
2020年11月9日
福井市議会議長 見谷喜代三 様
市民オンブズマン福井
政務活動費の公開度改善を求める要請書
▼ 全国市民オンブズマン連絡会議は、47都道府県、20政令市及び60中核市の議会に政務活動費の情報公開度についての質問表(2020年6月1日現在)を送り、その結果を、「2020年度 政務活動費 情報公開度ランキング」として公表しました。
その結果、福井市議会は、60中核市中の53位でした。
(※表は略=福井市議会と福井県の採点表の比較)
福井市議会は、2019年度も30点に留まり、58中核市中の51位でした。
2年続けて最下位から8番目という結果です。
中核市の平均点は62点です。全国市民オンブズマン連絡会議は「50点に満たないのは、基本的な情報の作成さえ義務付けていないことを意味する」と指摘しています。
ちなみに、福井県議会は、昨年度は合計38点で47都道府県中の25位でしたが、領収書のネット公開を実施した今年度は19位に上昇しました。
中核市の2019年度の議員一人当たりの政務活動費交付額の平均額106.8万円(一時的な減額は含まず)です。福井市議会は180万円で、かなり高額です。
中核市の議会として、政務活動費の情報公開に積極的に取り組み、特に以下の3点について、早急に改善されることを要請します。
記
1 特に問題である3点
(1)ネット公開が皆無
政務活動費領収書のネット公開は、2016年度調査では9議会でしたが、今回の調査では73議会(全体の57.5%)へと飛躍的に進みました。
ところが福井市議会は、領収書、会計帳簿、活動報告書、視察報告書、マニュアルのいずれをもネット公開していません。さらに調査対象外である収支報告書さえネット公開されていません。
(2)領収書の原本提出を義務付けていない
60中核市議会の44議会(73%)が、領収書の原本提出を義務付けています。
しかし、福井市議会は写しの領収書を提出しています。
(3)旅費と宿泊費に領収書添付を義務付けていない
福井市議会は、宿泊費と移動手段等の料金には領収書添付を義務付けていません。
宿泊費は定額払い(1泊12,000円と日当2,000円)で、鉄道等の費用は活動記録簿の記載を以て証拠書類とすることができるとしています(マニュアルP8)。
2 早急に改善が必要な理由
(1)公開度改善の動きが鈍い
当会が2016年11月21日に提出した「政務活動費の領収書等を議会ホームページで公開するよう求める陳情」に対し、同年11月30日の議会運営委員会で協議が行われましたが、以下のような消極的な発言が相次ぎました。
「見たい人は文書法制課(注:現在は市民サービス推進課)で見てもらえばいいのではないかと思います。」、「今のマニュアルでは領収書(注:鉄道料金や宿泊費)の添付は求められておらず、このマニュアルに沿って運用している以上領収書は公開のしようがないということになろうかと思います。(略)中途半端に領収書を公開しても意味はないと思います。」、「宿泊代や鉄道料金は領収書を添付しなくてもいいように思います。(略)強制するものではないのではないかというような気がします。」。
翌2017年5月に、当会が行った「福井県内 政務活動費 情報公開度調査」においても、福井市議会は10議会中最下位でした。
全国的のみならず福井県内においても改善が進む中、福井市議会は非常に動きが鈍いと言わざるを得ません。
(2)領収書添付の義務付け無しが違法行為につながった実例
石川与三吉元福井県議会議員は、2013~2016年度に計44回のカラ出張を繰り返し、政務活動費計2,820,800円を不正に受給した疑いがあることが、2020年2月8日に報道され、同年2月12日に議員を辞職、2月19日に不正受給額を返還しました。
その後、福井県議会が聴取調査を行い、44件の県外視察報告書は全て架空のものであったこと、架空の視察報告書作成に関しては、(株)塩浜工業と石川元議員本人との間で直接行われていたことを公表しました。
福井県議会は、2017年度分から、領収書の原本提出を義務づけると同時に、宿泊費や鉄道料金を領収書に基づく実費払いにしました。石川元議員は、運用改善のその前年まで、4年間にわたりカラ出張による政務活動費の不正受給を続けていました。
支出証拠資料の不透明さは違法行為を可能にし、しかも発覚しにくい環境にします。
福井市議会が、税金を原資とする政務活動費の透明化に消極的な姿勢を続けるならば、市民の議会への信頼を損ねます。
以上
(添付資料)
① 「2020年度 政務活動費 情報公開度ランキング」よりP43~P54
② 「平成28年11月30日 議会運営委員会 顛末書」
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