2020年度 県議会政活費に関する措置請求の監査結果についての見解
2022年5月24日
「2020年度 福井県議会政務活動費に関する措置請求」の
監査結果についての見解
市民オンブズマン福井
5月13日に、請求人に標記の措置請求に対する監査結果通知(福監第55号令和4年5月12日)が届いた(県報掲載は5月24日)。
以下、監査結果について、市民オンブズマン福井の見解を明らかにする。
記
1 措置請求の主な内容は、ポスティングや封筒詰めなど、いわゆる単純労務作業の賃金支出に関するもので、大きな論点は以下の3つである。
- 基本的な事実を明記する必要がある。
- 時間給による支給は不適当である。
- 「政務活動費から支出できる金額」の基準が必要である。
監査結果はこれらの論点をまともに検討しない不誠実なものであった。
■ ①について
これは、賃金を支払った労務作業の実態を一般市民がわかるように説明することを求めるものである。監査結果には「対象機関に確認」という記述が11ヶ所もあり、一般市民が知り得ないのは当然である。議員の報告書の不備は明らかである。
ポスティングの場合、配付戸数は基本・必須の事柄であるが、マニュアルに規定がないことを理由に、記載しないことを認めたのは極めて非常識な態度と言わざるを得ない。
監査報告を読んだ後でさえ、これらの活動がなぜ政務活動に当たるのかなど、実態を十分に理解するのは困難である。監査委員はマニュアルの不備をこそ指摘すべきである。
■ ②について
単純労務作業の賃金を時間給で支払うことは、税金からの支出を「必要最小限」にするよう求めた地方財政法の考え方からも、一般的な賃金決定の方法(単価×部数)からも容認しがたいものである。
監査報告も、時間給を1戸あたりの単価に換算した金額について、「一戸あたり11.1円は社会的に著しく高いとは言えない」(10頁)、「一戸あたり30.6円および25円は社会的に著しく高いとは言えず」と記述し、約3倍の格差があることを認識している。単価11.1円ですら相場より相当高いのだが、実態を追認しただけで不合理を指摘しない監査を容認することはできない。
■ ③について
これは、議員が支払った賃金は「全額を政務活動費から支出できるわけではない」ことを指摘して、客観的な基準を作るよう求めたものである。
監査報告は「契約の自由」や、「社会的に著しく高いとは言えない」ことを理由に上げて政務活動費からの全額支出を認めているが、前記の通り一戸当たりの金額に3倍もの格 差があるなど、社会的な相場を大きく上回る支払いが行われているのは明らかである。賃金額の判断を個々の議員の裁量に委ねることは、税金支出のあり方として容認しがたい。
社会的な基準を超えて支払った賃金は、議員個人が負担すべきでものあり、その基準は議会自身が示すべきである。
石川与三吉元県会議員による旅費の詐取が制度の不備にあったことは、記憶に新しいところである。議員の知人などに対する、税金を使った不当な利得提供を招きかねない制度の不備は、早急に是正すべきである。
■ 一般社団法人 Xに関する問題点
監査報告は一般社団法人 X(以下,(一社)Xと言う。)側の事情説明をすべて認めているが、政務活動費は障がい者の雇用を確保するための制度ではない。側の事情によって政務活動費支出のあり方がゆがめられてはならない。
業務の実態に関する監査報告の説明はきわめて不十分であり、(一社)Xに雇用されている障がい者や指導員が、実際にどのような作業を行い、それがなぜ政務活動と言えるのかを理解することはできない。
また、時給3000円という障がい者指導員の業務が、なぜ政務活動にあたるかも理解できず、契約した60万円全額を政務活動費から支出できる根拠は何ら示されていない。
鈴木宏治氏が代表を勤める(一社)Xへの支出は、同一人物である県会議員・鈴木宏治氏との間に交わされた契約に基づくもので、通常に倍する透明性が求められているのであるが、納得できる説明が行われたとは言えない。
2 会議費支出について
上記以外の措置請求は温泉で開催された地元の地区区長会の総会及び懇親会に出席した際の会議費支出であるが、監査委員は対象機関を通じて確認したとして、実質的な意見交換を目的とした会議等であると認めた。議員自身が、政務活動費を支出してどのような調査研究活動をし、成果を挙げたかを公開していなければ、一般市民が知り得ないのは当然であり、監査委員はその点を指摘すべきである。
3 提訴について
市民オンブズマン福井の5月定例会(28日)で検討する予定である。
以 上
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント