「越前市情報公開制度の見直し」に関する意見書
2026年1月13日
越前市 総務部人事・法制課御中
市民オンブズマン福井
「越前市情報公開制度の見直し」に関する意見書
当会は、主に福井県内において、地方公共団体の情報公開制度の継続的な改善
を図る事を活動の一環としている市民団体です。
当会は、これまで福井県内の全ての地方公共団体の情報公開制度を調査するため、貴市に対しても情報公開請求を行ってきました。
当会の県内一斉調査や訴訟等の活動により、情報公開制度が改善されてきたことは、当会の自負するところであり、さらに、過去32年間に及ぶ全国市民オンブズマン連絡会議の活動も然りです。
さて、貴市は、2025年12月15日、「デジタル時代に対応する新しい情報公開制度(素案)(以下、「素案」といいます。)を発表しました。
しかし、「素案」のとおりに見直しがなされた場合、越前市民等以外の市民(以下、「市外者」といいます。)による情報公開請求は著しく困難になります。当会が行ってきた福井県内の全ての地方公共団体に対する一斉調査のための情報公開請求も、費用の高騰により断念することになりかねません。
当会は、今回の制度見直しによって、越前市の情報公開制度が改悪され、継続的な改善がなされなくなる危険があるのではないか危惧しているところです。
また、貴市は、「素案」に対して、パブリックコメントを募集しています。
ところが、パブリックコメントの応募対象は、越前市民等に限定されています。「素案」による見直しが実際に行われた場合に、その影響を最も被るのは「市外者」です。それにもかかわらず、「市外者」がパブリックコメントの応募対象から除外されるのであれば、パブリックコメント募集の意義を損ないます。
少なくとも「素案」に基づく見直し前に、パブリックコメントの募集対象を限定することなく、広く意見を募るべきです。
なお、当意見書は公開の予定です。
記
1「素案」の「2 市外の方からの手数料の徴収」について
(1)見直しの内容
「素案」によると、「越前市情報公開条例」(以下、「現条例」といいます。)
17条を改正し、市外の請求者には、請求手数料、及び公開時にコピー代の実費に加えて開示文書1頁当り100円の実施手数料(以下、「手数料等」といいます。)を徴収するとしています。
(2)情報公開請求に対応する事務についてのみ時給換算した手数料を請求する根拠がないこと
貴市が、紙、オンライン申請とも国基準(300円、200円)の10倍の「手数料等」を設定したのは、情報公開に伴う職員の労力を時給換算した金額であると報道されています。
しかし、情報公開請求に対応する事務も各所管に於ける所掌事務の一つです。貴市が、「その他の事務」については、時給換算した手数料を請求していないにもかかわらず、情報公開請求に対応する事務についてのみ時給換算した「手数料等」を請求するとする根拠はありません。
(3)請求者を区別しない現条例5条の趣旨に反すること
「現条例」第5条は、「何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、公文書の開示を請求することができる」と定めています。
「現条例」5条が、「何人も」公文書の請求ができると定め、請求者を限定していないことは、全国の市民からの情報公開請求に社会的意義を認めたからにほかなりません。
そうである以上は、その運用にかかる経費は基本的に貴市が負担するべきです。その「手数料等」を「市外者」にのみ負担させる「素案」は、請求者が市民等であるか否かを区別していない「現条例」第5条の趣旨を大きく後退させるものです。
(4)「市長が認める場合」が不明確であること
「素案」は「市外からの請求であっても、報道機関からの請求など、特別な対応が必要と市長が認める場合は、市民等と同様に、請求手数料と実施手数料の市外者加算は徴収しません。」として、「手数料等」の負担について例外を認めています。
しかし、「特別な対応が必要と市長が認める場合」とはどのような場合なのか、また、どのような手続を経て「特別な対応が必要と市長が認める場合」が認定されるのか不明確です。市長による恣意的判断を可能とする懸念があります。
例えば、当会は、2016年7月、県内9市長の交際費についての情報公開の一斉調査を行いました。その一環で、当会は、同年7月29日、貴市に対して「越前市長の2015(平成27)年度市長交際費(267件)について、支出内容(交際費相手方など)を記載した資料」の開示請求をしました。
その際に、当会は、貴市に対して、開示資料の写し13枚分として130円(コピー代1枚10円)を納付しました。
仮に、「素案」のとおり条例が改正され、「特別な対応が必要と市長が認める場合」に該当しないとされた場合、当会が負担する費用は(紙申請であれば)、「3,000円+1,300円」になります。実に約33倍もの「手数料等」を負担することになります。
(5)問題になっているのは営利目的の大量請求
従来から問題になっているのは営利目的の大量請求です。
当会も、営利目的の大量請求に限定して相応の「手数料等」の負担を求めるのであれば、その趣旨を理解することはできます。
しかし、営利目的の大量請求であれば、越前市民等であれ「市外者」であれ相応の「手数料等」を負担させるべきであり、越前市民等と「市外者」とを区別する根拠はありません。
2 情報公開制度の活用が求められていること
貴市の2024(令和6)年度情報公開請求の実績を見ると、個人が20件(市内12.市外8)、法人その他団体が36件(市内16.市外20)と、極めて低調です。このように、現状では、情報公開請求に対する事務が過大な負担になっているとは考えにくい状態です。したがって、情報公開に伴う職員の労力を軽減するために「手数料等」の負担を求めるという「素案」の立法事実は存在しません。
情報公開制度をより活用し易くする改正こそが求められています。
今回の「素案」に沿った見直しは、情報公開制度の趣旨を大きく後退させるものであり、「素案」に沿った見直しを断念すべきです。
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