岐阜県のカラ出張が大問題となっている。
ところが、この福井県でも、長期間にわたる大規模なカラ出張が横行していたことをご存じであろうか。あるいは、覚えておられるだろうか。当時、舞台が福井県だったせいか、まだ世間がこういった問題をとりあげる風潮にあまりなかったせいか、今回の岐阜県のケースほどには騒がれなかった(ような気がする)。
しかし、わが市民オンブズマン福井は、住民訴訟を提起することで、長い間にわたってこの問題に取り組んできた。
裁判所は、福井地裁、高裁金沢支部ともに、入口論で私たちを負かせ、舞台は最高裁に移った。
そして、最高裁は、平成16年12月7日、私たちの主張のうち、支出から1年以上経過していた部分を除き(監査請求は財務会計上の行為から1年以内に行うか、知ってから速やかに行わなければならないとされている)、福井地裁に審理のやり直しを命じた。
その差し戻し1審訴訟が、先日(10月11日)結審し、12月27日に1審2度目の判決が言い渡されることとなった。
この裁判に当初から一応(はじめは名前だけでした)関わってきた原告の1人として、判決の日までに、概略を整理しておきたい。
本日は、主として、カラ出張の金額である。
1 平成6年4月から平成9年12月までの間のカラ出張総額は、21億6203万0384円とされている。すごい金額である。岐阜と遜色ない(別に自慢にはならないが)。
2 福井県は、この「事務処理上不適切な支出額」を「公務遂行上の経費に充てた額」と「不適正な支出額」とに分けた。すなわち、福井県の職員で構成した「旅費調査委員会」は、「公務遂行上の経費に充てた額」が16億9395万8660円あったとし、これは不適切であっても経費に充てたものだから問題はないとしたのである。何に使おうとカラ出張は違法であるし、「公務遂行上の経費に充てた」と言っても、その明細は明らかにしなかったから、結局のところ本当のことは分からないままである。残念である。岐阜県のある意味いさぎよい態度とは好対照である。
3 さて、このようにして、残りの「不適正な支出額」である4億6807万1724円だけが、返還の対象とされた。これに利息を付した4億6947万8420円プラス1億4993万9963円だけが「旅費返還会」によって返還されたのである。
私たちは、「公務遂行上の経費に充てた」と言われても、納得がいかなかったのですね。やはり、21億6203万0384円全額を返還すべきではないかという問題提起を行うために、住民監査請求を経て、住民訴訟(訴額は16億9395万8660円)を提起したのです。
残念ながら、最高裁は、一方で極めて適切妥当な判断を示したのですが、他方で監査請求期間の経過という形式的な理由だけで審査の対象を制限してしまいました。平成9年8月17日以降にされた旅費支出に関わる行為だけを福井地裁に差し戻したのです(この金額がいくらなのかも争点の1つだが、とりあえず、平成9年4月から同年12月までに「公務遂行上の経費に充てた」とされる金額は、2億2046万4000円である)。
しかし、それでも黙っていてはそのままになってしまっていたカラ出張問題が再び裁かれる意味は大きい。12月27日、福井地裁は、2度目の判決でどのような判断をするか。注目されるところです。(坪)
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